漫画家・土田世紀の絶筆作品「かぞく」実写映画化 吉沢亮、永瀬正敏、小栗旬、阿部進之介主演

17歳で漫画家デビューし、「未成年」「編集王」「雲出づるところ」「同じ月を見ている」を世に送り出し、人気作家としてのキャリアを積み重ねていた2012年に突然この世を去った漫画家・土田世紀による未完の絶筆作品の実写映画化作「かぞく」が、2023年11月3日より劇場公開されることが決まった。吉沢亮、永瀬正敏、小栗旬、阿部進之介が主演する。

「かぞく」は、漫画家・土田世紀が残した「かぞく」で描かれた5つのエピソードを原作とし、監督を務めた澤寛自身の生い立ちや経験を織り交ぜ、現代家族を包括的に描いた映画。父が失踪したマコトは、母と二人で住み慣れた街を離れて新しい街へと向かう。内縁の妻と生活を送るケンジ、その妻ハルカはある秘密を抱えている。妻を亡くし、父1人で2人の子供を育てるタケオは、子供たちと海へドライブに出かける。久しぶりに実家へ帰ってきたユウイチは、自分の名を呼ぶ女性に森の中へといざなわれていく。4人の男の4つの家族が、複雑に絡み合い、喪失から再生へと向かう様子を描く。

土田世紀が描いた物語が現代家族の背負ってきた旧来の家族構造の特徴である家父長制家族の諸問題から生まれた物語であったとし、「核家族」「婚姻関係」「親子関係」「血縁関係」「法や倫理に背いた関係」「父とは」「母とは」「子とは」などのテーマを各エピソードに振り分け、「家族とは何か」を問いかける作品となっている。

脚本・監督を務めるのは澤寛。澤田石和寛として映画「十三人の刺客」「るろうに剣心」などの衣装デザインなどを務めてきた。本作が監督デビュー作となる。澤寛監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

■澤寛監督コメント
ずっと現代における「家族とは何か」と考えてきた。私にとって家族とは他人も同然で、家族に何かを求める意思を持つことはなかった。家族という組織は親子、夫婦それぞれが、その時代を生き抜くために互いの“扱い”を変えながら、愛も遺恨も引き連れて出産と育成という本能をもとに、社会環境の変化に合わせてその時代に必要な関係を維持しながら、役割を変えてきたのだ。家族とは親が子供を育てるという関係以上のものではないように感じていた撮影当時の私は、劇内に登場する家族関係を崩壊させようと思っていた。離れていく家族から、「家族」を感じることができると思っていたのだ。2019年に撮影をしたのち、一年後の7月に残りを撮影した。全ての撮影を終え、2020年の9月から自宅アトリエで編集作業に入り、シナリオと撮影済み素材を見ながら、この映画の結末を改めて考えていた。親は子供に何ができるのだろうか。子供は親に何ができるのだろうか。家族とは何か。本格的なポストプロダクションに入る前、私は20年ぶりに実家を訪れ独り身の母と会話をし、これまで感じてきた、家族を好きと思えなかった理由を述べた。そして、私の父親、彼女の元夫が数年前に亡くなっていたことを伝えた。元夫の人生の結末を聞いた母の口から、私の幼少期に起きた家族の事情を伝えられた。それは子供からの目線であったからなのかもしれない。しかし、その時の私は、家族というものは、生きていようが死んでいようが関係がなく、自身が自身であるために必要な存在なのだと理解した。
この映画の呼吸を聴く。私の目に見える世界は少しずつ変わっていく。私は、この不思議な関係を描くことで、家族の未来を描き出したのだ。

【作品情報】
かぞく
2023年11月3日(金・祝)
配給:アニプレックス
©土田世紀/日本文芸社,ANIPLEX, Inc.

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