「今が正念場です」東山紀之社長 ジャニーズ社員に送っていた「葛藤メール」の中身

《代表取締役に就任してから2週間過ぎました。自分は今までの仕事を兼ねており皆さんとまだ充分に話し合いをする時間を取れていないこと。それゆえに、皆さんを不安にさせてしまっていることに心から申し訳なく思っています》

9月19日、ジャニーズ事務所の社員に向けて、メールで新社長の葛藤を明かした東山紀之(56)。同社が創業者・ジャニー喜多川氏の性加害問題を認め、社長を務めていた藤島ジュリー景子氏(57)が引責辞任。東山が代表取締役として謝罪する会見を開いてから12日後のことだ。この日、ジャニーズ事務所は公式HP上で《今後の会社運営に関するご報告》と題して、東山の名前でこう発表していた。

《皆さまのご意見、ご批判を真摯に受け止め、今後の弊社の在り方について検討を重ねて参りました。本日、弊社取締役会を開催し、藤島が保有する株式の取り扱い、被害補償の具体的方策、社名変更、所属タレント及び社員の将来など、今後の会社運営に関わる大きな方向性についてあらゆる角度から議論を行い、向かうべき方針を確認いたしました。今後、法務や税務その他の論点を精査する所存です。そして改めて、10月2日には、その進捗内容を具体的にご報告させていただきたく存じます》

9月7日の会見で東山は“社名変更は検討したものの現状は変えない”とする姿勢を示したが、一転して社名変更を示唆する文言が含まれたのだ。その背景を広告代理店関係者はこう証言する。

「もともと社名変更については、会見前に行われた所属タレントたちへの聞き取り調査で“社名を変えてほしくない”という意見が大半だったことも大きな理由の1つだったといいます。

しかし、会見での“社名変更はしない”姿勢に拒否感を持つ取引先が多かったのです。 社名に創業者の名前を残すことへの世間の風当たりは想像以上に強く、広告契約を結んでいたスポンサー企業は次々に“今後ジャニーズ事務所との契約を更新しない”声明を発表しました。いまやテレビや映画のキャスティングにも支障が出ています」

■井ノ原はジャニーイズム払拭を強く主張

全国紙記者も言う。

「そのため、新会社を設立して全タレントを移籍させるそうです。また、東山さんは新たな社長像として“直接会って話す”ことに強いこだわりがあるといいます」

実際、東山は9月21日にジャニー氏からの性被害を訴えていた橋田康氏(38)と直接面会して謝罪。子会社・ジャニーズアイランドの社長を務める井ノ原快彦(47)も同席していたという。

「実は事務所を解体的に出直し、“ジャニーイズム”払拭の必要性をかねて強く主張していた幹部は井ノ原さんだったと聞いています。特に井ノ原さんが懸念したのは“ジャニーズJr.”という名称についてです。

ジャニー氏ありきで付けられた名前にほかならず、社名変更を確定させる前から“ジャニーズJr.”の呼び名は、明るい未来を築くために、今後すべて抹消するべきだという結論を早々に出したのです」(芸能関係者)

これにより、ジャニーズJr.に所属するメンバーの呼び方はどうなってしまうのだろうか。

「Jr.の中にはいくつかの選抜グループがあります。たとえばこれまでは、メディアで取り扱う際には、“ジャニーズJr.のグループ・Aぇ! group”という扱いにしていましたが、“Aぇ! group”のみになるといいます。いわば、デビュー組と同じような呼び方となり、グループに所属していないJr.の場合は、本人のフルネームのみで対応していくそうです」(前出・芸能関係者)

事務所内部にも続々と変化が。音楽関係者は言う。

「先日、事務所のエントランスにあった大野智さんが描いたジャニー氏の肖像画が撤去されていたとの報道がありました。これは6月にはすでに撤去されていました。しかし、9月半ばには“関係者以外立ち入り禁止”の場所にあったジャニー氏の遺物も撤去の対象になったのです。本社屋にあったジャニー氏の仏壇、ジャニーズアイランドの最上階にあるジャニー氏の功績をたたえる品々を飾っていた“ジャニー氏コーナー”などが消え、ジャニー氏排除の動きが広がっています」

■国分太一が就任した新たな役職は…

そんななか、事務所内で“新たな役職”に就任したのが国分太一(49)だという。

「国分さんは、井ノ原さんや藤島氏、木村拓哉さんとともに8月下旬に行われた、東山新社長を囲む決起集会のメンバーでした。国分さんは昨春、株式会社TOKIOの関連会社の社長に就任している幹部でもあります。そんな国分さんは今回、“アーティストコミッティ委員長”に就くことになったそうです」(前出・音楽関係者)

聞きなれない役職だが、具体的にどんなことをするのだろう。

「所属タレントの統括的な立ち位置を意味しており、タレントのケア、タレントとスタッフをつなぐ役割などを担っていくそうです。自ら立候補したと聞きました。国分さんは各タレントに“何か悩みや困ったこと、スタッフに相談しづらいことがあれば、まず自分に言って”と伝えたそうです。

会社とともに苦境に立たされている後輩たちの力に少しでもなりたいという思いなのでしょう。コロナ禍前には頻繁に後輩たちを誘いフットサルをするなど、以前から後輩たちを気遣っていましたから……」(前出・音楽関係者)

東山の冒頭のメールには、最後、こう綴られていた。

《皆さんのサポート、心から感謝しています。今が正念場です。一丸になって頑張れればと思います。まだまだ経営者としては稚拙で足りないことばかりの私ですが、やれるだけのことをやってまいりますのでどうかよろしくお願いします 代表取締役社長 東山紀之》

井ノ原が熱く訴えた「ジャニーズ永劫抹消」の解体精神で、新体制は正念場を乗り切れるのか――。

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