岡山市 町内会活動をデジタル化へ 専用SNS用いて実証実験

岡山市の回覧情報が表示されたSNSのデモ画面

 岡山市は町内会活動のデジタル化に向け、専用SNS(交流サイト)を用いた実証実験に乗り出した。スマートフォンのアプリで回覧板の内容を確認したり、住民同士で意見交換したりできるシンプルな機能が特徴。来年2月上旬まで五つの単位町内会で運用し、使いやすさや実効性を検証する。

 町内会活動は担い手不足や高齢化に直面しており、SNSを活用して情報共有の仕組みを効率化するほか、現役世代の積極参加を促す狙いがある。実験は総務省の事業で岡山市など全国10市町が参加。小田急電鉄(東京)が開発したSNS「いちのいち」を使う。

 岡山市では弓削、北方四日市、四御神横縄手、加茂団地、本村の町内会をモデル地区に5月下旬から運用を開始。住民はスマホやタブレット端末のアプリで所属する町内会のグループに登録すると、市の配布物や町内会の回覧板の内容などが随時配信される。グループ単位の掲示板も備え、将来は災害時の安否確認への活用も想定している。

 市や町内会が周知を進めており、8月末時点で計637世帯のうち13.3%に当たる85世帯が登録しているという。

 町内会活動のデジタル化を巡っては、市は2002年にインターネットで地域情報を発信する「電子町内会」をスタート。各町内会がホームページを立ち上げ、回覧板や不審者、防災情報をメールで一斉配信している。

 ただ、参加は連合町内会で96団体のうちの40団体(41.7%)、単位町内会で1709団体のうちの62団体(3.6%)にとどまる。運営に関わる人材不足や手間などから伸び悩んでいるという。

 単位町内会を対象にした21年度の市のアンケートで、43%が「市からの配布物を回覧や全戸配布する負担が大きい」と回答。SNSの実証実験を通じ、町内会や住民がより使いやすいツールを検討していく考えだ。

 市市民協働企画総務課は「負担軽減の手段としてデジタル化は不可欠。ITが苦手な市民に配慮して緩やかな移行を目指すとともに、新たな担い手を呼び込むきっかけにしたい」としている。

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