世界を転戦「いつかはマラソンも」田中希実選手にスポーツ特別栄誉賞 地元兵庫・小野で笑顔「帰るとほっと」

蓬萊務市長(左)から花束を受けた田中希実選手(中央)と父親の健智コーチ=小野市役所

 陸上の世界選手権女子5000メートルで自身の日本記録を更新し、8位に入賞した田中希実(のぞみ)選手(ニューバランス、兵庫県小野市在住)が25日、小野市役所を訪れ、蓬萊務市長から、特に顕著な功績を祝う市スポーツ特別栄誉賞を受けた。世界を転戦し続ける多忙な日々にも「トラックで成績を出し、次世代に新しい形を示したい」と意欲を見せた。

 8月にブダペストで開かれた世界選手権女子5000メートル予選で14分37秒98を出し、日本記録を更新。決勝では日本勢として26年ぶりに入賞した。その後の海外遠征で体調を崩した時もあったが、9月9日には陸上の世界最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(ブリュッセル)女子5000メートルで日本記録をさらに縮め、14分29秒18で3位に入った。

 この日は父親の田中健智(かつとし)コーチ(52)らと市役所を訪れ、職員らに拍手で迎えられた。蓬萊市長は「報道を見ながら声援を送っていた。田中選手の活躍は小野市、日本の誇り。さらなる活躍を」と語りかけた。

 田中選手は「体力はあると思っていたが、遠征で体調を崩し、競技を続ける上で課題だと思った」と振り返った。多種目に挑み続けるが「1500メートルには常にこだわり、いつかはマラソンも」と語った。ケニアで練習を積んだ日々を「西脇工高校時代から行きたかった。みんなギスギスせず、自分に合っている」と充実感を漂わせつつ「地球の裏側から小野に帰るとほっとする」と笑顔を見せた。

 「来季を見据え、体調が万全でなくてもその時点で最高の力を出せるように」と田中選手。ロードレースの世界大会(10月1日、ラトビア)に向け、26日に東京から出発する。(坂本 勝)

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