「ムチッとした打感が好き…」 原英莉花は手嶋多一と同じアイアンに

撮れたてホヤホヤの14本は“やさしさ重視”(撮影/服部謙二郎)

腰の痛みに長く悩まされ、今季は椎間板ヘルニアの手術を行って3カ月ツアーから離れていた原英莉花。治療からの復帰後、8月「ニトリレディス」で9位タイに入るなど徐々に調子を上げてきている。

クラブ契約フリーとなって2年目だが、「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(宮城・利府GC)でバッグの中身をのぞくと、体への負担を考えた14本に変わっていた。

ドライバーはキャロウェイの「パラダイムツアー」という、他のプロが使うような「トリプルダイヤ」より少し大きめなヘッド(トリプルダイヤが430ccなのに対し、ツアーはヘッド体積455cc)。ツアーという名ではあるが、ツアーモデルの中でも少し寛容性のあるモデルだ。

「パラダイム TOUR ドライバー」スライドバーのおもりを外している(撮影/服部謙二郎)

ヘッドを見ると、ソール後方にあるスライドバーのおもりを外していて、そのかわりなのかソールに鉛を貼っている。「ヘッドバランスがあんまり出ない方が好きなので、(おもりを)外しました。あと、(スライドバーのような)ガチャガチャあるのがあんまり好きじゃなくて、個体みたいな一体感あるクラブが好きなんです」と原。

それでもバランスは「D1」で軽すぎはしないが、「3年ぐらい前は『D5』とかまでいっていたので、結構落としたんですよ」とそもそもがバランスの出るモデルを使ってきたわけだ。

男子顔負けのセッティングで戦ってきた原も、腰痛との戦いでクラブ選びにも変化を入れてきた。ことしは開幕戦からコブラのヘッドを投入し、治療からの復帰後はミズノを使ってきた。そして今回キャロウェイのパラダイムを選んだ理由は、「やっぱり少し飛ぶなって気がします」と、体への負担も考えながらもそこは飛ばし屋としての自負も垣間見える。

「JPX 923 TOUR プロトタイプ」商品化する前のコスメだ(撮影/服部謙二郎)

アイアンも、コブラからミズノに一新。男子プロの手嶋多一が過去に使っていた「JPX 923 TOUR プロトタイプ」だ。ミズノのクラブ担当に話を聞くと、「手嶋プロも打感に敏感なのはご存じかと思いますが、彼が気に入っていたモデル。原プロも『打感最高です』と言って使ってくれています。打感が柔らかいので、ちょっとミスした時でもカチンというのがなく、たぶん体の負担も少ないと思うんですよね」と、やはり体のことを考えた上でのチョイスなのだろう。

原もその打感を気に入っていて、「インパクトが柔らかくて、ムチッとこうフェースに球がくっつく感じが好き。球と鉄の愛称がすごくいいんでしょうね。フェードを打って切れすぎちゃうのも嫌だし、つかまったフェードを打つにはやっぱり球がフェースに乗っていて欲しい」とそのくっつき感がスイング面にプラスになっている。

ちなみに「JPX 923 TOUR」は6番から9番まで。5番アイアンは同じミズノの中空モデル「ミズノプロ FLI-HI(2019)」にしている。14本の随所に、体への負担の配慮が感じられる。

「オデッセイ WHITE HOT OG パター ROSSIE」重心は高すぎず低すぎないとのこと(撮影/服部謙二郎)

バッグの中で、もうひとつ気になったのがパターだ。米男子ツアー11勝のジョン・ラームや男子プロの河本力らが愛用するオデッセイの「ホワイトホットOGロッシー」がバッグに入っていた(ラームは現在別モデルにスイッチした模様)。彼らが使うロッシーといえばショートスラントネックでフェースの開閉が入りやすいモデルだが、原のネックはクランクネックで、しかもクランクまでが異常に長い。

原はロングネック好きとは聞いていたが、ロッシーのロングネックは見たことがない。「元々はロッシーが使いたかったというのが最初です。連戦が続いたときにマレット型のほうがイメージが出やすいかなと思って。マレットはショートネックのものしか持っていなくて、キャロウェイの方に相談したら、ロッシーのヘッドでネックを伸ばしてくれて…」(原)。ヘッドとシャフトの間に2つの部品をかませ、3点で溶接しているまさに原専用の特注クランクネックだ。

「真っすぐ動かしやすい」とパタ練に励む原英莉花(撮影/服部謙二郎)

ネックを長くすることで、「フェースバランスになって、真っすぐ動かしやすいんです」とやさしさの味付けが加わった様子。「元々ちょっとカットになりやすいので、真っすぐ動かせた方がつかまってくれて球がねじれない感じがします。ヘッドの開閉を意識してもそんなにローテ―ションする感じにはならない」と好感触だ。

10月には2024年の米ツアー出場権をかけた2次予選会(Qスクール・ステージ2/10月17日~20日、フロリダ州プランテーションG&CC)のため渡米を控えている原英莉花。自分の体とスイングに向き合って決めた14本と共に、新たな戦いに挑む。

3W&5Wのコンビは継続。新たにピンのUTが加わっている(撮影/服部謙二郎)

<原英莉花のクラブセッティング>
ドライバー:キャロウェイ パラダイム TOUR(9度)
シャフト:UST マミヤ The ATTAS V2(硬さ5S)

フェアウェイウッド:ヤマハ RMX VD(3番15度)※2021年モデル
シャフト:UST マミヤ The ATTAS V2(硬さ6S)

フェアウェイウッド:キャロウェイ エピック SPEED トリプルダイヤモンド(5番18度)
シャフト:UST マミヤ The ATTAS V2(硬さ6S)

ユーティリティ:ピン G430(4番22度)
シャフト:UST マミヤ ATTAS EZ370 65 (硬さS)

アイアン:ミズノ ミズノプロ FLI-HI (5番)※2019年モデル
シャフト:UST マミヤ アッタスFFアイアン85

アイアン:ミズノ JPX 923 TOUR プロトタイプ アイアン (6番~9番)
シャフト:UST マミヤ アッタスFFアイアン85

ウェッジ:ゾディア プロトタイプ(45度、49度、55度、58度)
シャフト:アッタスFFアイアン95

パター:オデッセイ WHITE HOT OG パター ROSSIE

ボール:ブリヂストン ツアーB X

ヤマハ RMX VD (3番15度) ※2021年モデル(撮影/服部謙二郎)
もはや手放せない2本になってきた(撮影/服部謙二郎)
ミズノ ミズノプロ FLI-HI (5番) ※2019年モデル(撮影/服部謙二郎)
ゾディア プロトタイプ(58度)スコアラインがびっしり(撮影/服部謙二郎)
ブリヂストン ツアーB X(撮影/服部謙二郎)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン