総務省が機械処理可能なデータ形式を公開してから約3年近く経過しました。総務省の統計サイト等ではコンピュータ処理しやすいデータ形式が増えてきました。しかし地方公共団体が公開するデータにまで視野を広げてみると、使い勝手の良いデータ形式での公開はまだまだ少ないのが現状です。
これにはいくつか理由があると思います。職員数が少なく対応できない。どのように対処して良いのかがわからない。そもそも必要性を感じていない等があるのかもしれません(あくまでも筆者の個人的な見解です)。
ただ選挙関係データで言えば、投票率、得票数等の選挙結果データの改善も必要なのですが、こちらもなかなか使い勝手が良くなりません。
さらに選挙終了後に各立候補者から提出される選挙運動費用収支報告書についても大きな改善が必要だと思います。
現在の選挙運動費用収支報告書の問題点とは?
選挙運動費用収支報告書というのは、選挙運動にかかった費用、誰から幾ら寄付金をもらったか、どのような費用を支出したのか?等について記載されているものです。
この収支報告書を読むことで、誰の支援を受けたのか、どこに業務を発注したのか?それぞれどの程度の金額を受注、発注したのかがわかります。
島根県選挙管理委員会では、選挙運動に関する収支報告書要旨が掲載されています。(掲載サイトはコチラ)
この収支報告書はこのような形式で公開されています。ご覧いただければわかるようにPDF形式での公開です。PDF形式は印刷する際には、レイアウトがパソコン上でみているものとほぼ同じ状態になるので、とても便利なものであります。
しかしPDFに記載されている数値を計算したり、寄付金額が多い順にデータを並び替えようとしてもできません。そのためこれらの通知をExcel等の表計算ソフトに入力し直す等の作業が必要となります。
紙情報をスキャンしたものではなく、PDF形式でプリントアウトしてネット上に掲載されているのですから、原本はエクセル等のデータの並び替え、集計ができるようになっている形式で保存されている可能性が高いのです。
しかしエクセル等の集計ができる形式で収支報告書を公開している選管はほとんどありません。
このような各種収支報告書も、選挙等を後日検証するためにも、エクセル等でデータの並び替えがスムーズにできるようにする必要があると思います。
報告書の改善案を提案!データの集計をしやすく
そこで今回は選挙運動費用収支報告書をこのような形式で作成してみてはいかがでしょうか?サンプルを作成してみました。
この選挙運動費用収支報告書はこのような項目で構成されています。
候補者氏名、所属政党、出納責任者氏名、期間、第何回目
収入
主たる寄付をした者の氏名
主たる寄附をした者の団体名
職業
寄付額
支出
人件費
家屋費
選挙事務所費
集合会場費
通信費
交通費
印刷費
広告費
文具費
食糧費
休泊費
雑費
上記が収支報告書要旨の内容です。
PDFこのままですと各候補者がそれぞれいくらの寄付金、支出金額があったのかを、一覧表で見ることできません。
そこでこのようなテンプレートを作成しました。候補者名、出納責任者名についてはイニシャルで置き換えました。
このような形式でデータ公開されるのであれば、どの候補者のそれぞれの項目の金額が一瞬で計算することできます。そして要旨ではなく全データがこのような形式で公開されていれば、誰もがその候補者に関係するお金の流れを検証することができます。
国会議事録を見ればわかるように、政治とお金の問題は過去から現在に至るまで終わることなく続いています。その理由の一つとして、各種データ閲覧に制約がかかっていることが多く、人の目に触れる可能性が少ないので問題点が隠れやすいことが挙げられます。
問題点が改善されない状況が続いているので、このような形式で誰もがデータ検証をすることができれば、(多くの人の目でデータに触れることができれば)問題点が発覚しやすくなるので、より公平公正な選挙の実現に近づくのではないでしょうか?
政治にまつわるお金の流れを透明化すれば信頼回復も期待できる
これは選挙運動費用収支報告書の話ですが、政治資金収支報告書、政党交付金使途報告書等も総務省が公表する機械的処理が可能なデータ形式で公開され、誰でも、どこからでも、瞬時に集計作業等をすることができれば、より透明性の高い選挙運動が期待できます。
政治不信の理由の一つとして、政党、政治家のお金の流れの不透明さが挙げられます。国、地方を運営する資金の流れの透明性を確保することが、政治への信頼回復につながるのではないでしょうか?
その一環として選挙運動費用収支報告書、政治資金収支報告書、政党交付金使途報告書等、国、地方の政策決定に大きな影響を与える議員に関するデータを見やすい形式で公開することが必要です。
今回は選挙運動費用収支報告書をこのように改善してみてはいかがでしょうか?ということで一つのテンプレートを提案してみました。
このようなデータは総務省が一括管理をして、総務省ウェブサイト上(選挙関連資料ページ)で全国で執行された選挙運動費用を検索、並び替えできるような体制を整えて欲しいと思います。