老人クラブの会員が激減 25年で半減、高齢者増えているのになぜ?和歌山

和歌山県内老人クラブ会員数の推移

 高齢者は増えているのに、老人クラブの会員数は減っている。和歌山県内でも25年間で半減した。高齢者活動の中心的な存在で、県老人クラブ連合会は「PRを強化し、会員増につなげたい」と危機感を募らせている。

 老人クラブは、生きがいや健康、仲間づくりを目的に、運動や文化、地域づくり活動を行う。おおむね60歳以上が対象で、他に特に参加資格はない。

 国勢調査によると、県内の2020年の65歳以上人口は30万5500人で、1995年の19万5575人から25年間で1.5倍以上に増えている。

 一方で、2023年の老人クラブ会員数は5万9076人で、1998年の12万2965人から25年間で半減した。600以上のクラブが解散している。

 背景には社会の変化がある。県老連によると、組織や地域に縛られたくないと考える人が増えた。年金支給年齢が引き上げられ、65歳を過ぎても生活のために働く人は少なくない。日常生活に苦しみ参加する余裕のない人もいるという。

 県老連は「楽しみながら参加できるイベントなどをアピールしていきたい。高齢者を中心に独居老人の見守り活動をしている事例もある。一緒に暮らしやすい社会づくりに参加してもらいたい」と呼びかけている。

■18クラブが解散 2年間で田辺市

 田辺市の万呂寿会連合会は、八つの老人クラブで構成し、会員は約340人。グラウンドゴルフやボウリング、詩吟などのクラブがある。グラウンドゴルフクラブの週3回の練習会には、70~90代の十数人が参加し、会話を楽しみながら2時間近くプレーしている。

 健康づくりはもちろん、趣味を通じ、普段から声をかけ合うことで、独居でも孤立しない環境をつくる狙いがある。高齢を理由にした退会で関係が途切れないよう、90歳以上は会費不要のゴールド(永久)会員制度も設けた。

 各クラブの役員は会報を会員宅に届け、見守り活動につなげている。高齢者同士で得た情報や悩みを持ち寄り必要に応じ、民生委員や行政などに働きかけをするという。

 ただ、市老人クラブ連合会の会員数は年々減り続けている。2023年は3695人で、2年間で約千人減少した。この間、18クラブが解散している。

 寿会連合会の会長で、市老連会長も務める初山茂さん(87)は「会長を務める人がいないからと解散する事例もある。会の代表は外部の若手でもできる。会を維持し、社会活動を続けるため、地域の協力もお願いしたい」と呼びかけている。

グラウンドゴルフを楽しむ万呂寿会のメンバー(和歌山県田辺市下万呂で)

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