民間イベントに和歌山県費? 県予算案にTGCへの「負担金」、議会で指摘相次ぐ

和歌山県庁(和歌山市)

 和歌山県は、和歌山市で来年2月に開催される日本最大級のファッションショー「東京ガールズコレクション」(TGC)の「負担金」2500万円を県議会に提案中の一般会計補正予算案に計上している。25日の総務委員会ではこれを審議し、最終的には認めたが、議員から民間イベントに県費を支出することの正当性について意見が相次いだ。

 赤坂武彦地域振興監は「和歌山を元気づけるために最大級のファッションショーとコラボ(協力)したい」と理解を求め、TGCへの負担金は「補助や支援、赤字補填(ほてん)ではない」と説明。紀北、紀中、紀南に無料で入場できるパブリックビューイング(大型モニターでの観覧)会場を設けるのに1千万円▽交流サイト(SNS)などでPRしてもらうのを目的に、モデルらが食事する場所に県特産品のブースを設ける費用に300万円▽障害者らに出演してもらう「ユニバーサルファッションショー」の費用に1200万円支出したいとした。

 ユニバーサルファッションショーについては赤坂地域振興監は「障害者がこれまでTGCの舞台に上がったことがない」とした上で、県は障害者差別解消条例の制定を目指しているところであることを踏まえ「和歌山県が、障害のある人とない人が共生する社会の実現を目指していることを世界に発信できる絶好のチャンスだ」と話した。

 議員からは「(開催後)目的をどの程度達成できたかを具体的に検証する必要がある。それを示すことで民間企業と組むことの説得力が出るのではないか」「ユニバーサルファッションショーは、主催者が企画してやればいいのでは。イベントのPRにもなるのに、県がなぜ多額を出して頼まないといけないのか」「(ネットなどで)どこでも見られるのに、パブリックビューイングに若者がわざわざ来るのか」など指摘や要望が相次いだ。県は引き続き、効果的に開催できるよう主催者と交渉するとした。

 TGCは首都圏だけでなく、地方でも実施しており、和歌山市では今年2月にも開催した。

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