ネット証券、首位巡り攻防 売買無料化、破格の戦略

手数料の無料化を巡る現状

 インターネット証券業界で顧客の獲得に向けた新たな攻防が始まった。業界首位のSBI証券と2位の楽天証券が日本株の売買手数料を無料にする。2024年に少額投資非課税制度(NISA)が拡充されるのをにらみ、収益源の一つを自ら手放す破格の戦略となる。

 最大手のSBIは19年から無料化を公言。25歳以下を対象に手数料を先行してゼロにするなど攻勢を強めてきた。標準的なコースで55~1070円かかっていた手数料の無料化を9月30日にスタート。さらに来年始まる新しいNISAでは米国株の手数料も無料にすると発表した。

 足元ではグループの持つ口座数が1千万を超えるが、親会社のSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長はかねて「2千万は簡単にいく」と自信を見せてきた。

 一方、楽天の楠雄治社長はSBIを「最大のライバル」とし、対抗心を燃やす。SBIと同じ水準の手数料を10月1日からゼロにする。楽天グループのポイントを活用できる「楽天経済圏」の強みを生かし、新規客を囲い込む戦略だ。

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