原爆投下、米の責任「棚上げ」 広島市の市民局長、議会で答弁

広島市に答弁の撤回を要請する広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(手前左)=26日午後、広島市役所

 広島市の平和記念公園と、米ハワイ州のパールハーバー国立記念公園との姉妹公園協定を巡り、市の村上慎一郎市民局長が米国の原爆投下に関して「米国の責任の議論を現時点では棚上げにし、まずは核兵器の使用を二度と繰り返してはならないという市民社会の機運醸成を図っていく」と市議会で答弁していたことが26日、分かった。

 市によると、米国の原爆投下について市が議会答弁で「棚上げ」という表現を使うのは初めて。広島県原爆被害者団体協議会(県被団協)などは26日、市に答弁の撤回を要請した。

 答弁があったのは21日の市議会一般質問。翌22日の議会で趣旨を問われ、村上局長は「協定が米国の責任を不問・免罪にするためのものではないことを理解してもらうために用いた」と釈明した。協定は6月29日に締結した。

 26日の要請で、別の市担当者は「発言の撤回は考えていない」と回答。県被団協の佐久間邦彦理事長(78)は「多くの人が原爆で亡くなり、いまだに苦しんでいる状況の中で、『棚上げ』とはどういうことか。納得できない」と述べた。

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