ジュリアが井上貴子、神取忍に対戦要求「恩返しはリングで戦って果たす」貴子35周年大会出場で決意

新日本プロレスのSTRONG女子王座を保持するスターダムのジュリアが26日、都内で会見し、井上貴子デビュー35周年記念イベント(11月21日、TOKYO DOME CITY HALL)への出場を発表。スターダム提供試合として飯田沙耶とのシングル戦に臨むが、井上貴子、神取忍との対戦意欲を口にし、その先に視線を向けた。

ジュリアにとって井上貴子は、デビュー戦(2017年アイスリボン10・29後楽園大会、対トトロさつき&直date組)のタッグパートナー。「試合後に言われたことが印象的でした。『このレベルでデビューしちゃうんだ』と。ドキッとして、私はデビューできるレベルじゃないんだ、と実感して、より練習に励むことができた。あの言葉があるから今の自分がある」と、感謝を口にした。

一騎打ちする飯田には「先輩にも後輩にも気を使って大事なところで譲ってしまう。正直物足りない。スターダムのリングじゃないんだから、ここでも遠慮するようだったら、そのまま引退しちゃえば」と厳しいゲキを飛ばし、これに激高した飯田と乱闘寸前までエキサイトした。

会見に同席した神取忍は「なかなかいいね、骨があるよ」と頼もしげ。井上貴子はデビュー戦直後にジュリアに言い放ったダメ出しを、よく覚えていない様子だったが「いい選手になりましたね。私のおかげで」と語り、飯田とのやりとりを「間違いなくヒートアップすると思うので、できるだけ近くで見たい」と歓迎した。

ジュリアの視線は、さらにその先にも続く。「恩返しというのは、レスラーたるものリングで戦って果たしたいと常に思っている」と切り出した。先人の女子レスラーへの敬意を口にし、米国滞在で不参加だったスターダム8・19大田区大会で行われた6人タッグ戦(神取忍&井上貴子&葉月VS中野たむ&なつぽい&安納サオリ)を引き合いに「私はアイドルとは違う。私は戦いたいです。何をされてもいい」と要求。神取は「やってもいいけど、自分の中のコンプライアンスが整理できたらね」と受け止めていた。

ジュリアは会見後、改めて井上貴子、神取忍への思い入れを口にした。「私にとって貴子さんの言葉は大きかった」と、改めてデビュー戦を思い返し「あの時は後ろ受け身もちゃんと取れなくて、できないことだらけ。テレビの密着取材もあって、勢いだけでデビューが決まっていた。気持ちだけはやれるつもりだったけれど、あの言葉でドキッとした」と回想。デビューで満足せずに取り組めたことが、現在の躍進につながった。

神取忍はジュリアの母が大ファンで、一緒に滞在した米国滞在中、大田区大会はネット中継で視聴したという。「相手のペースに持って行かれて、本気を出すまでもない相手、という感じでしたね。母は『私の好きな神取忍じゃない』と嘆いていた」と振り返った。直後の専門誌の表紙では、同試合のややコミカルなシーンが登場。「私は正直ショックでした。あの3人に囲まれて、痛そうな顔をしている神取忍は見たくなかった。もっと殺気立っている試合を私はたくさん見てきて、リスペクトがあったので」と対戦要求の背景を語った。

単なる提供試合には終わらせない。ジュリア、飯田、貴子、神取の意地と思惑と因縁が交錯するイベントになりそうだ。

(よろず~ニュース・山本 鋼平)

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