GTWCアジア2023がセパンで閉幕。アンソニー・シュウ戴冠、最終戦1-2のR&Bがチーム王者に

 2023年シーズンのファナテック・GTワールドチャレンジ・アジア(GTWCアジア)第6大会が9月23~24日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催され、アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュートの11号車アウディR8 LMSエボII(アンドリュー・ハリアント/ジェイムス・ユー組)がレース1勝者に。シーズン最終戦となったレース2では、R&Bレーシングの4号車ポルシェ911 GT3 R(ルー・ウェイ/パトリック・ピレ組)が、姉妹車87号車ポルシェを引き連れてトップフィニッシュを飾った。

 日本でも富士、鈴鹿、もてぎ、岡山の計4大会が行われ、これらのレースには“ファナテック・ジャパンカップ”のタイトルが掛けられた今季のGTWCアジア。5月にタイで開幕したシーズンは4つの日本ラウンドを経て東南アジアに回帰し、元グランプリコースであるセパン・サーキットでシーズンファイナルを迎えることとなった。

 今大会はレース1の結果次第でアンソニー・シュウ(クラフトバンブー・レーシング)のドライバーズチャンピオンが決定する状況だったが、ポールポジションからスタートしたアブソリュートのハリアント/ユー組が勝利を飾ったことで、クラフトバンブー所属の中国人ドライバーによる戴冠は日曜の最終戦まで持ち越されることに。

 シュウ/ダニエル・ジュンカデラ組37号車メルセデスAMG GT3エボは、スタート直後の2コーナーで発生した多重アクシデントや、モーリス・チェン駆る72号車ポルシェ911 GT3 R(ハブオート・レーシング)のビッグクラッシュによる赤旗中断もあったレースで11号車アウディを追い続けたが、わずか1.861秒届かず2位フィニッシュとなった。3位にはタイトルを争うH.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム組88号車メルセデスAMG GT3エボ(トリプルエイトJMR)が続き、逆転王座獲得に望みをつないだ。シュウとのポイント差は19ポイントだ。

 一方122ポイントでイブラヒムに並ばれたブティコン・インタラプワサク(AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシング)にとっては、オープニングラップでのアクシデントが選手権争いにおいて大きな痛手となってしまった。AAS/アブソリュートの911号車ポルシェ911 GT3 Rは、このレースをノーポイントで終えている。

2023年GTワールドチャレンジ・アジア第6大会セパン・レース1のスタートシーン
レース1を制したアウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュートの11号車アウディR8 LMSエボII(アンドリュー・ハリヤント/ジェイムス・ユー組)

 迎えた日曜のレース2は、予選2番手となった4号車ポルシェと同5番手スタートの87号車ポルシェが逆転でのワン・ツー・フィニッシュを達成。この結果、完勝のR&Bレーシングが、アブソリュート、クラフトバンブーとの間で繰り広げられていた三つ巴のGT3チーム王者対決を制し、2023年シーズンのタイトルを獲得した。

 注目のドライバー選手権では、レース2での優勝がタイトル獲得の必須条件だったイブラヒム組88号車が3位、インタラプワサク組911号車も6位とそろってこのミッションをクリアできなかったうえに、選手権リーダーも10位で1ポイントを加えたため両名の逆転劇とはならず。最終的にシュウが142ポイントで2023年チャンピオンに輝いた。“プリンス”イブラヒムは5ポイント及ばず選手権2位。同3位にはレース2を制したウェイが入り、インタラプワサクは年間4位でシーズンを終えることとなっている。

 全6大会を終えたファナテック・GTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイ・AWSの2024年シーズン開幕は約7カ月後。SROモータースポーツが運営するアジアシリーズを戦う各チームは4月19~21日に行われるオープニングイベントのために、ふたたびセパンへと戻ってくる。

2023年GTワールドチャレンジ・アジア第6大会セパン・レース2のスタートシーン
レース2でワン・ツー・フィニッシュを飾ったR&Bレーシング
2023年シーズンのGT3ドライバーズチャンピオンシップを獲得したクラフトバンブー・レーシング
両レース3位と健闘したもののタイトル獲得にあと一歩届かなかったH.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム組88号車メルセデスAMG GT3エボ(トリプルエイトJMR)
2023年シーズンのGT3チームズチャンピオンシップを獲得したR&Bレーシング

© 株式会社三栄