「生きづらさ」抱える女性をサポート まちなか保健室 仙台市の支援団体の取り組み

コロナ禍で顕在化した生きづらさ。悩みを抱え、孤立する女性をサポートしている仙台市の支援団体の取り組みです。

仙台市青葉区の市民センターで8月25日、仙台市の支援団体がまちなか保健室を開設しました。目的や名前を明かさず、無料で利用できるまちなか保健室は、家でも学校や職場でもない第三の居場所として、10代から20代の若い女性を対象に月に1回、午後4時から午後8時半ごろまで開設しています。

保健師や社会福祉士の資格を持つスタッフや、女性を取り巻く様々な問題の当事者の経験があるスタッフなど約10人が悩みを抱えた女性を支えます。
Sendai_RIGHTS佐久間博子共同代表「生きづらさとかについて、とてもオープンにはしゃべりづらい社会だなと感じていて、そこに何か風穴を開けることができないかと」

まちなか保健室

この日は、20代の女性4人が訪れ、本を読んだり音楽を聞いたりしながら思い思いに過ごしていました。
「みんな東京に仕事に行っちゃったりとか結婚とか子どもができたりとかで、友達が疎遠になっちゃったりしてるんで、気軽につながれる所があったら良いなと」

「仕事を失い生活に困っている」「家庭内暴力を受けていて家に居場所がない」
生きづらさを抱える女性の問題は、新型コロナの感染拡大をきっかけに顕在化しました。

コロナの影響による解雇や自宅で過ごす時間が長くなり、ストレスや生活不安などから配偶者からの暴力が増加しました。
仙台市が、2022年の9月から10月にかけて18歳から39歳までの女性5000人を対象に行った調査では、アンケートに答えた1649人のうち56.5パーセントが「困り事を抱えている」と回答しました。

具体的には「家計が苦しい」が29.0%、次いで「家事・育児・介護の負担が大きい」が13.4%、「人間関係がうまく築けない」が11.5%に上っています。
仙台市男女共同参画課西山祥子課長「女性の相談窓口では若年層の方の相談が少ないですけれども、だからといって悩みを抱えていないわけではないということが分かりました」

仙台市では、平日の日中を中心に電話相談や面接相談を受け付けていますが、学校や仕事に行く若い世代は相談窓口を利用しづらく、民間の団体を頼らざるを得ないと佐久間さんは話します。
Sendai_RIGHTS佐久間博子共同代表「他の家とか様々な事情とかを見聞きする機会が若い人は少ないので、自分が生きづらいんだということにもなかなか気付きにくいのかなと」

人とつながることで自分の悩みに気付き、人に相談するきっかけにしてほしいという思いから佐久間さんたちは2022年10月にまちなか保健室を開設しました。
くじに書かれたテーマについて話したり、みんなで食事を作ったりするなど、様々な場を提供しています。
「最近感じたささやかな幸せ」
「本屋さんで絵本巡りをするのが好きなんですけど、そこで好きな作家さんの新作絵本が出ていて読んだ時がやっぱり一番幸せだなと思います」
「今、絵本ブームだもんね」

居場所の1つに

まちなか保健室を何度か利用しているという女性です。人とコミュニケーションを取るのが苦手だという悩みを抱えています。まちなか保健室を利用して、自分も会話に入って良いいんだ。自分の存在が認められている安心感があると話します。
「あまり人としゃべれなくて私と同じように悩みを抱えていたり、色々な人たちがいて私だけじゃないんだなって気持ちになります」

この日は季節に合わせた企画も。楽しい体験をしてもらおうと、浴衣の着付け体験が行われました。
「可愛いよね」「ピンク似合う」
初めて浴衣を着たという女性たち。自然と笑みがこぼれました。
利用者「浴衣を着るのが初めてなので、すごい貴重な経験ができました」「平日の昼間にやってる所は多いんですけど、仕事とか終わった後に来られる時間でやってるのがすごい良いなと」
Sendai_RIGHTS佐久間博子共同代表「私たちの活動を知っていただいて生きづらさまで感じてなくても、是非うちを居場所の1つとして活用していただければなと思います」

Sendai_RIGHTSでは、まちなか保健室の料理で使う食材購入などのための寄付を呼び掛けています。次回は9月29日に青葉区中央市民センターに開設される予定です。

© 株式会社東日本放送