
Forrest Crellin
[パリ 26日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は26日、2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにするための工程表「ネットゼロ・ロードマップ」の改訂版を公表し、太陽光発電や電気自動車(EV)など、クリーンエネルギー技術の普及により、地球温暖化を摂氏1.5度以内に抑える目標を達成することは依然として可能だとの認識を示した。
ただ、30年代初め以降はクリーンエネルギーへの移行に年間4兆5000億ドル近くを投資する必要があると指摘。今年の投資額の見込みは1兆8000億ドルという。
今年は記録的な気温上昇を記録。世界の平均気温は産業革命前の平均を約1.1度上回った。
IEAは、21年以降の太陽光発電容量の増加とEV販売の増加、また両分野のインフラ計画は目標に沿っているとした上で、さらなる取り組みが必要だと主張。
具体的には、30年までに世界の再生可能エネルギー容量を3倍にする、エネルギー効率の高いインフラを2倍に増やす、ヒートポンプの販売とEVの利用をさらに拡大するといった対策を挙げた。
また、エネルギー部門のメタン排出量を30年までに75%削減する必要があるとも指摘。費用は推定750億ドルで、22年の石油・ガス業界の純利益のわずか2%だとしている。
各国の事情を考慮した公平な移行が必要とも述べ、先進国が途上国よりも早くネットゼロに到達する必要があると主張した。