「高岡発ニッポン再興」その99 新幹線「小松駅」停車の衝撃

出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・来年3月の北陸新幹線延伸で、市が求めてきた定期便の新高岡駅への停車見送り。

・石川県3駅、福井県4駅に停車。しかし富山県は富山駅1駅のみ。

・角田市長はJR東日本と西日本に謝意。今までの停車運動は何だったのか。

私が住居を東京から高岡市に移して驚いたのは、朝夕の幹線道路の渋滞です。人口が減っているのに、ナゼと、当初は不思議に思いました。すぐに理由はわかりました。多くの人が一人一台でクルマに乗って、通勤しているからです。地球温暖化の克服が急務とされる中、マイカーの依存度をどのように下げるか。重要な課題です。

期待されるのは、公共交通です。市民が気軽に、バスや鉄道などを利用する。これぞ、市が掲げる、持続可能な未来都市、高岡だと思います。二酸化炭素をなるべく出さない「美しい高岡」にも直結します。

さらに、高齢化とともに、免許返納者が増えています。バスに乗って出かけて買い物をする高齢者が増えれば、「優しい高岡」というイメージが強まります。それは高齢者の健康増進、つまり、医療費や介護費の削減につながります。

さらに、「開かれた高岡」という点で大事なのは、北陸新幹線です。来年3月16日には、北陸新幹線が敦賀まで延伸します。その発表の際に、私が驚いたのは、速達便の「かがやき」の定期便の停車駅です。

石川県では、金沢駅のほかに、本数こそ少ないものの、小松駅、加賀温泉駅に定期便が止まります。福井県では、福井駅と敦賀駅、さらに芦原温泉駅と越前たけふ駅にも定期便が止まります。

富山県では、定期便が止まるのは富山駅だけです。新高岡駅は2015年の開業当時から、「かがやき」に関しては、臨時便しか止まりません。JR側は当時、新幹線の速達便に関しては「1県1停車駅」が原則としていました。停車するのは、多くの停車駅に止まる「はくたか」が大半でした。

今回も新高岡駅では「かがやき」の定期便の停車は見送られました。それなのに、なぜ石川県では3駅、福井県では4駅に止まるのでしょうか。

このニュースが出た後、私の方に、なぜ、「かがやき」が止まらないのかと、さまざまな厳しい批判が寄せられました。無理もありません。

小松駅は、新高岡駅と同じように、ナンバー2の都市の駅です。小松市の人口は10万人ほどで、高岡市を大きく下回っています。

一方、新高岡駅は、飛騨、越中、能登合わせて80万人の玄関口です。さらに、高岡市には、瑞龍寺と勝興寺といった国宝が2つもあります。加賀藩ゆかりの北陸の主要都市なのです。

しかも、高岡市はJR側に、「かがやき」の停車を求めてきました。「かがやき」の停車は、高岡市民の悲願だったはずです。

ところが、角田悠紀市長は8月31日の記者会見でJR東日本と西日本に謝意を示しました。今までの停車運動は何だったのか。私はそこで、「かがやき」の停車に関して、質問しました。「かがやき」が止まるか、止まらないかは、極めて重要な政治課題です。私は市長答弁を期待していました。

トップ写真:E7系 北陸新幹線「かがやき」金沢市石川市(2017年10月5日)出典:MasaoTaira/GettyImages

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