翁長実希が熱戦のKYOJO CUP第3戦を制し今季初優勝。トップチェッカーの三浦愛はペナルティで後退

 9月24日(日)、2023年KYOJO CUP第3戦が富士スピードウェイで行われ、114号車RSS VITAを駆る翁長実希が2023年シーズン初優勝を飾った。トップでチェッカーを受けたのは17号車の三浦愛(Team M VITA)だったが、レース後の審議でペナルティが下り、2番手でチェッカーを受けた翁長の順位が繰り上がることとなった。

 今大会も参加台数が21台という盛況ぶりを見せたKYOJO CUP。三浦や翁長、斎藤愛未(337号車D.D.R VITA-01)などのランキング上位勢がひしめくなか、シリーズ初出場となる後藤玲香(35号車恒志堂レーシングCLASS VITA)もスポット参戦。より一層熾烈な争いになることが予想された。

 日曜日の8時25分にスタートした公式予選の序盤は、87号車を駆る山本龍(お先にどうぞ☆VITA)や86号車の永井歩夢(Dr.DRY VITA)、44号車の平川真子(RSS vita)らが上位タイムをマーク。そんななか、開始から8分が経過したところで三浦がタイムを更新しトップに浮上。永井も自己ベストを更新し、三浦、永井、山本という順に。

 セッションが残り4分を切るとポールポジション争いさらに激しさを増し、永井が自己ベストを更新して三浦に対し0.110秒差まで肉薄。しかし三浦も2周連続で自己ベストを更新して対抗。1分59秒254を記録してポールポジションを獲得した。永井はポールポジションこそ逃したものの、自己ベストとなる2番手グリッドを獲得。3番手グリッドには山本がつき、決勝レースを迎えることとなった。

 同日の13時50分にフォーメーションラップがスタートし、決勝レースは幕を開けた。トップで1コーナーへ飛び込んだのはスタートからポジションをキープすることに成功した三浦だ。三浦に続いたのは抜群のスタートダッシュを決めた4番手スタートの翁長と5番手スタートの平川。自己ベストとなる2番手グリッドからスタートした永井は4番手へと後退した。

 オープニングラップで三浦と翁長が後方を2秒以上引き離し、トップ争いは2台に絞られていくことに。一方、ペースが上がらない平川を先頭に永井、山本、斎藤の3番手争いは激化。3周目の1コーナーで永井が平川をオーバーテイクして3番手に復帰すると、2台の順位が毎周入れ替わる激しいバトルへと発展した。このバトルは5周目まで続いたが、5周目に永井が平川の前に出ると、この争いにピリオドを打つように平川との差を広げていった。

白熱した3番手争いを繰り広げた86号車の永井歩夢(Dr.DRY VITA)と44号車の平川真子(RSS vita)

■互いの意地がぶつかった10周目の攻防

 トップを争う三浦と翁長は1秒以内のギャップで周回を重ね、翁長は三浦にプレッシャーをかけ続けていく。そのままレース終盤までトップ争いに動きはないように見えたが、9周目の最終コーナーで周回遅れの車両が現れると、三浦はこのバックマーカーをパスする際にやや失速。三浦が立ち上がりで速度を落としたことで翁長に絶好のチャンスが訪れる。

 翁長は続く1コーナーのブレーキングで並びかけたものの、ここは三浦がディフェンスする。テール・トゥ・ノーズのままヘアピンにさしかかると、立ち上がりで翁長が三浦のアウトサイドへ並びかけた。ダンロップコーナーの進入では2台がほぼ横並びの状態でブレーキング勝負となったが、互いに軽く接触しながらも、三浦はポジションを落とすことなくトップをキープした。その差1秒以内の攻防はレース終盤まで続いたものの、三浦がそのまま逃げ切りトップでチェッカーを受けた。

 しかしレース後、翁長との接触に関する5秒加算のペナルティが三浦に下され順位が逆転。翁長が優勝を手にし、2位に三浦、3位に永井が入る結果となった。

 優勝した翁長は「自分もレベルアップしなければ」と語る。

「自分自身にできることをしっかりやりながら戦いましたが、コーナリングでは分があるもののストレートでは三浦選手の方が速く、追いつくのが精いっぱいという状態でした」

「わずかにあったチャンスをしっかりつかむために並びかけたタイミングで接触があり、結果的に順位が入れ替わって優勝というかたちになりましたが、この1戦を幸運と捉えるのではなく、次戦に向けて自分もレベルアップしなければいけないと感じています」 

 翁長は「今回ポイント差が縮まったことはチャンピオンへのチャンスだと思うので、それをしっかりとものにするために、次戦はクルマも自分のドライビングももっとまとめて、戦えるようにしていきたいです」とチャンピオン獲得に意識を向けた。

 シリーズ“女王”を決める2023年シーズン最終戦、KYOJO CUP第4戦は11月26日(日)に富士スピードウェイで開催予定だ。

優勝した翁長実希(RSS VITA)
翁長実希がドライブする114号車RSS VITA

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