「カテゴリーは最短で駆け上がれるように」新宿にJクラブを…23区初のJ3ライセンス交付、クリアソン新宿が描く未来「1人でも多くの方に楽しんでもらう」

JFLに所属するクリアソン新宿は26日、J3クラブライセンス交付を受けて記者会見を実施した。

Jリーグは26日、2024シーズンのJ3クラブライセンスの取得クラブを発表。4クラブに交付され、新宿もそのうちの1つとなった。

新宿は施設基準に課題があるものの、東京23区というホームタウンの特性を鑑みて交付が決まったということ。新宿区には国立競技場があるものの、Jリーグは「リーグ全体で使用したいという意向がある」ということもある他、新宿が東京都内で一定数のホームゲームを実施できることから特例で認めたとした。

JFL参入2年目の新宿。元Jリーガーなども補強したチームは今シーズンは21試合を終えた時点で4位に位置。J3昇格は2位以内に入る必要があるが、2位のソニー仙台FCとの勝ち点差もわずかに「1」という状況。J3昇格の可能性を残している。

クラブの代表を務める丸山和大氏がオンラインでの記者会見に臨み、J3クラブライセンス交付を受けて意気込みを語った。

「J3ライセンス交付に際しては、色々な方から23区でクラブを運営する上で、『そんなに甘くないよ』とか『スタジアム難しいよ』とか、色々な声をいただいて、我々も認識した中で、色々なチャレンジをして、過去の先人のお陰で今回特例という形でチャレンジをしてみたらどうだという機会をいただけて、本当に感謝しております」

「その感謝をしっかりと歯を食いしばりながら、最後まで諦めずにサッカー界の大義、世界の大義に向けて、『社会を豊かにするんだ』という思いで、我々をJリーグに上げていただいた際には、しっかりと貢献するクラブとして過去の先輩Jリーグクラブ、現在活躍しているJリーグクラブの皆様と一緒に価値創造できるようなクラブになって貢献して参りたいと思っています」

Jリーグ入会へクラブとしての意気込みを語った丸山氏。今回のライセンス交付にあたり、特例を受けた施設基準の課題についても説明した。

「まずは自前のスタジアムを持っているわけでもなく、地域には国立競技場ということで、行政と簡単にどうこうできるスタジアムではないということで、できる努力はなんなのかと日々模索していました」

「その中で、まずは国立競技場で1万人を超える試合を2回できたというのは、ご評価いただけた1つの実績かなと思います。我々は23区でクラブを始めた段階から、このスタジアム問題はいつか行き着く問題だなと考えた時に、スタジアムの本質は何かを考えました。それは1人でも多くの地域の方を中心として熱狂が生まれる。そういったクラブのコンテンツであることが必要だと感じていました」

「この新宿で、1人でも応援してくれる方を増やして、こういうクラブにはしっかりとした箱が必要なんじゃないかと言っていただける努力が必要だと考えて、地道に活動して参りました」

「その中で、国立競技場もそうですし、最近では西が丘なんかでも2000人近い方を集めて試合ができるようになって、そういったところを東京都サッカー協会さんをはじめ、色々なスタジアムと関係を持たれている方と協力しながら、今活用させていただいています」

「Jリーグに上がる際には、そこの利用がJ3基準を満たしたスタジアムで、一定以上の割合を活動できる目処がついたというところでの今回の判断だと思っているので、我々クラブとしては、1人でも多くの方にしっかりと楽しんでいってもらえるようなコンテンツになっていって、その中で、スタジアムをより前に進めていければと思います」

クラブを運営する上での強い意志と、この先のビジョンを語った丸山氏。現在は味の素フィールド西が丘をメインに使用しているが、この先にカテゴリーを上げていった際には、別の道を考えているという。

「西が丘も利用されたい方々がたくさんいらっしゃって、高校サッカーを始めて、あらゆる世代で“聖地”として使われている場所なので、そこを我々が今一定の割合で使わせてもらっているというのは、責任は発生していると認識しています」

「我々がやるべきことは、我々が一定使わせていただくことで、それがサッカー界、日本、東京にとって価値があるということを示し続けることだろうなと思っています」

「中長期で考えた時には、西が丘はみんなで使っていくスタジアムであったりすると思っているので、少しでも多くの比率を、新宿にある国立競技場や、これから先に色々な選択肢が出てくると思うので、そこを使えるようになり、西が丘を使いたい違うカテゴリー、または同じカテゴリーの色々なクラブによって、サッカー界の活用が広がることを目指していかなければいけないと認識しています」

国立競技場での試合も多く増やしていきたいという丸山氏。その思いはあり、難しいとされる中でも構想はあるという。

「金銭的なところはたくさんご心配いただきますが、アマチュアカテゴリーのタイミングなので利用料は若干変わります」

「ただ、国立で黒字になる試合を何試合かやれる目処は僕らの中では簡単ではないですが、チャレンジできるものだと認識しているので、しっかり活用して、色々な議論があると思いますが、ゆくゆくカテゴリーが上がった際には平日の利用には可能性があるとも考えています」

「国立の運営の流れも変わることも想定されるので、我々が国立で1試合でも多くやれるクラブになっておくことは、誰にとってもハッピーな話だと認識しているので、そういったチャレンジができるクラブで在りたいと思っています」

多くの課題もありながら、チャレンジする気持ちを忘れずに、後押しを受けられるクラブになることを目指すという新宿。目指すはもちろんトップのカテゴリーだ。

「サッカーを通じて豊かさを広げるという観点で考えたときに、カテゴリーを上げて1人でも多くの方にサッカーを楽しんでいただいたり、競技レベルを上げて、その競技の卓越性で感動していただいたりということは絶対に避けて通れないものだと認識しています」

「我々が掲げている新宿地域の課題ができるようなサッカークラブであるところは、イコール強さであるということを認識していて、クラブのメンバーも信じているところです」

「結果は他にも魅力的なクラブ、強いクラブがたくさんあるので一筋縄ではいかないんですが、やっていること、勝利によって証明されるようなアプローチはしたいと思うので、カテゴリーは最短で駆け上がれるようにチャレンジし続けていきたいと思います」

まずはJFLで結果を残し、J3に昇格することを目指す新宿。その中でも、クラブは未来を見据えて、しっかりと動き出しているようだ。

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