パーキンソン病などの「手の震え」改善へ 超音波(FUS)治療に注目 導入した姫路の病院「生活の質向上」

脳に超音波を当てる治療機器を説明する川上太一郎医師(右)ら=姫路市網干区和久

 パーキンソン病などによる手の震えの治療で、超音波を頭の外から当てる集束超音波治療(FUS)への注目が高まっている。2022年の実施件数は全国で564件に上り、3年間で約6倍に増えた。姫路・西播磨地域ではツカザキ病院(姫路市網干区)が2月に機器を初めて導入。患者4人へ治療を施し、震えが和らぐなどの効果があった。(田中宏樹)

 同病院によると、FUSはパーキンソン病の症状のほか、原因が分からず手が震える病気「本態性振戦」も対象とする。投薬で効果がない場合、これまでは頭蓋骨に小さな穴を開ける手術が必要だったが、FUSの導入で身体への負担が少ない方法が可能となった。

 治療では、脳の深部にある震えの原因部分の組織に超音波を集中させ、熱で凝固させて症状を抑える。医師はMRIで脳の内部を確認し、まずは低い温度で超音波を照射。患者とやりとりしながら震えの改善状況や副作用の有無を把握し、最も効果が高まる照射部位を決める。

 全国で18の医療機関がFUSの機器を導入し、県内では明石市の大西脳神経外科病院でも治療が受けられる。19年に保険適用され、全国での治療件数は同年の99件から右肩上がりで推移し、22年は6倍近い564件だった。

 超音波を通しやすくするため髪の毛をそる必要はあるが、ツカザキ病院では入院期間が4日程度で済むという。同病院先端画像・低侵襲治療センター副センター長の川上太一郎医師(48)は「FUSでは生活の質の向上が期待できるため、震えに悩む人は相談してほしい」と話した。

 同病院FUS専用ダイヤルTEL090.9963.7549

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