酒販店員とタクシー運転手、絶妙の連携 電子マネー購入、振り込み…寸前で食い止める 南但馬署が感謝状

感謝状を受け取った田中圭子さん、小野山敏夫さん(右から)=南但馬署

 兵庫県南但馬署は13日、連携して特殊詐欺の被害を防いだとして酒販店従業員の田中圭子さん(76)と、タクシー運転手の小野山敏夫さん(65)=いずれも養父市=に署長感謝状を贈った。

 同署によると、8月7日に同市の女性(79)が携帯電話のやりとりなどで「携帯電話料金が未納」として、電子マネーで30万~40万円の支払いを求められたという。女性は支払いを指示されたコンビニエンスストアの場所が分からず、常連だった近くの「田中酒店」に電話で相談。その際、支払いなどについて説明したため、田中さんが「それは詐欺」と指摘。女性もその場では「大きな金額だし、やめとく」と話した。

 田中さんは、長女が勤める「あいあいタクシー」を女性が普段利用していることを知っていたため、念のために長女を通して同社に連絡。女性から電話で乗車の申し込みがあり、乗務を担当した小野山さんにも情報が伝えられた。

 女性は車中でも携帯電話でやりとりし、「守秘義務」などの不自然な言葉を口にして、支払い目的もはっきりしないため、不審に思った小野山さんは近くの交番に車を止めて相談。女性の振り込みを食い止めた。

 「被害が防げて良かった」と田中さん。小野山さんも「田中さんから情報共有のための連絡がもらえて助かった」と胸をなで下ろしていた。同署の深木孝夫署長は適切な対応に感謝し、「今後も協力をお願いしたい」と訴えていた。(小日向務)

© 株式会社神戸新聞社