仕事中に突然液体「頭から勢いよくかけられた」 直後に炎、京アニ社員が恐怖の瞬間語る

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第10回公判が27日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれ、証人尋問が初めて行われた。事件当時、現場の京アニ第1スタジオ(京都市伏見区)にいた同社社員が出廷し、放火直前の青葉被告の様子について「無表情に近い顔をしていた。液体をまいて、『死ね』と大きな声で言って火を付けた」と証言した。

 社員は18年4月に入社し、アニメ制作のスケジュール管理などを担う部署に配属された。当時、同スタジオ1階の机で資料作成をしていた。

 検察側の証人尋問によると、「ドンドンドン」という足音とともに、見知らぬ男がスタジオ内に入ってきた。社員が視線を上げると突然、「自分の頭部から上半身にかけて、かなりの勢いで液体をかけられた」という。直後に「3人の社員に火を付ける物を向けた。オレンジ色の炎が床から天井まで上っていくのが見えた」と振り返った。その後、社員は女子トイレから外に避難したという。

 法廷では、社員は匿名で出廷し、証言台の周囲には遮蔽(しゃへい)板が設置された。弁護側席に座る青葉被告の前にも目隠しが置かれた。

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