「高岡発ニッポン再興」その100 新幹線「小松」停車に高岡市の答弁は

出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・北陸新幹線速達便「かがやき」の定期便停車駅に新高岡駅は盛り込まれず。

・沈滞している町の象徴として、高岡がテレビで報道される度に暗い気持ちに。

・黒部市長は、今回のJRの発表に不満を表明し、市民に寄り添った政治家でありたいと発言。

前回お伝えしましたが、来年3月16日には、北陸新幹線が敦賀まで延伸します。その発表の際に、速達便の「かがやき」の定期便の停車駅が発表されました。またしても、新高岡駅は盛り込まれませんでした。一方、石川県では、小松駅と加賀温泉駅が入っていました。そこで、私は9月20日の高岡市議会9月定例会で、質問しました。

新高岡駅は小松駅同様に県内第2の都市の駅。新高岡駅では定期便が止まらないのに、小松駅は停車駅となる結果となった。それを当局はどう受け止めているのか。市長が答弁するのかと思っていたら、部長答弁でした。

その答弁は、こんなものでした。驚くことに、小松駅という言葉は一切使われていません。

「先般発表された北陸新幹線金沢・敦賀間開業に伴う運行計画では、金沢以西の県庁所在地と終着駅を覗く4駅で、『かがやき』がそれぞれ2往復ずつ停車することになっている」。

この答弁の「金沢以西の県庁所在地と終着駅を覗く4駅」の中に小松駅が入っているのですが、意図的なのか、無意識なのかわかりませんが、全く触れていません。そして、答弁ではメリットばかりを強調していました。

「これらの4駅から東京への直行便は、『かがやき』と『はくたか』合わせて7往復であるのに対し、新高岡駅においては、14往復が維持されている」

「敦賀駅で特急に接続する『つるぎ』には、これらの4駅では16往復であるのに対し、新高岡駅は18往復、うち5往復が速達タイプとなっている」。

つまり、東京方面がこれまでどおり維持された上で、関西方面との利便性が格段に向上している。だから、新高岡駅が総合的に高く評価されているというのです。

前回もお伝えしましたが、この答弁に先立ち、角田悠紀市長は8月31日の記者会見でJR東日本と西日本に謝意を示しました。「かがやき」に拘っていた高岡市なのですが、なぜか変化しているのです。市民の中では、戸惑いが広がっています。ある市民は、私にこんなメッセージを送ってくれました。

「最近、少し驚いたことがあります。それは、北陸新幹線『かがやき』が小松に停車し、高岡には依然として停車しないにも関わらず、高岡市長がJR西日本に謝意を表明されたことです。一市民として納得できないです。高岡市民は、高岡に誇りを持っています。その誇りを、今回この発表で傷つけられたと思います。新幹線が開通したにも関わらず、沈滞している町の象徴として、高岡がテレビで幾度も報道される度に、暗い気持ちになります。小松と高岡は、いずれも県内第2の都市ですが、高岡は、飛越能の玄関口で交通の結節点であり、更に高岡は国宝2つを有する加賀藩ゆかりの北陸の主要都市です。

黒部市長は、今回のJRの発表に不満を表明されました。自然な流れだと感じます。今回、『かがやき』が、何故小松に停車し、高岡に停車しないのか理由を知りたいです。高岡の一人負けを避けて欲しいです」。悲痛な叫びです。私は市民に寄り添った政治家でありたいと思っています。

トップ写真:富山県高岡市下黒田 西日本旅客鉄道 新高岡駅。

出典:Kana Design Image/GettyImages

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