行方不明者の捜索、打ち切り寸前に急展開 警察犬ムック号が14回目のお手柄

行方不明の男性を発見したムック号と門脇正真警部補=姫路署

 行方不明になった高齢男性を発見したとして、兵庫県警姫路署は、県警鑑識課の警察犬「ムック・オブ・ハウス・サン・ボア号」に署長感謝状を贈った。ムック号はジャーマンシェパードの雄7歳で、表彰されるのは今回で14回目。

 8月22日午後7時20分ごろ、同県姫路市内の男性(85)の家族から「家に帰らない」と同署に届け出があった。男性が着けていたスマートウオッチの衛星利用測位システム(GPS)が市内の山中で反応したことから、すぐに同署員らが周辺の捜索を開始。しかし辺りは暗く難航した。

 午後10時35分ごろからムック号も合流。男性宅にあった帽子のにおいを頼りに、ペアを組む同課の門脇正真警部補(41)と山道へ入った。

 手がかりが見つからず、この日の捜索の打ち切りを検討していた同11時45分ごろ、ムック号が急斜面を走り出した。門脇さんが追いかけると、崖の岩場に男性が腰をかけていた。脱水症状があり、衰弱していたが命に別条はなかった。

 15日にあった贈呈式で、白野邦昌署長は「人間の力だけでは見つけられなかった」と感謝し、おもちゃや鹿肉のジャーキーを贈った。ムック号は跳び上がって大喜び。門脇さんは「無事に見つけられて本当によかった。これからも一緒に頑張ろうね」とムック号をなでた。(橘高 声)

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