真備の豪雨復旧拠点 役割に終止符 国の事務所、23年度末閉所

2023年度末で閉所される見通しとなった国土交通省高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所=倉敷市真備町箭田

 2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区で主に治水対策を担う国土交通省高梁川・小田川緊急治水対策河川事務所(同町箭田)が23年度末で閉所される見通しとなったことが27日、関係者への取材で分かった。集中的に進める河川の復旧・改良事業に終了のめどが立ったことが理由。ハード事業に加え、復興支援や地域防災の啓発を通じて被災地に寄り添ってきた最前線の拠点は、発生5年を経て役割を終える。

 豪雨発生直後に同省高梁川出張所(同市西阿知町西原)に設けられた災害復旧対策出張所の事業を引き継ぎ、19年4月、倉敷市真備支所に隣接する真備保健福祉会館内に開設。現在は職員23人が業務に当たる。

 決壊した小田川と高梁川の合流点を下流に付け替える工事をはじめ、小田川の堤防強化、川の容量を増やす河道掘削といったハード事業を推進。災害時の避難行動を時系列で整理しておく「マイ・タイムライン」の作成支援、出前授業や講習会を通じて地域の防災意識向上にも努めてきた。

 最も大がかりな合流点付け替え工事が進捗(しんちょく)率82%(15日現在)に達するなど全てのハード事業が23年度末の完成見込みとなったことから、事務所の業務に区切りをつけることとした。

 真備地区まちづくり推進協議会連絡会の高槻素文会長(76)は「豪雨後、防災を何から始めればいいか分からない状況で事務所職員の助言は心強かった。河川改修も着実に進めてもらい感謝したい」と話す。

 工事後の維持管理は同省岡山河川事務所(岡山市北区鹿田町)が引き継ぐ見込み。緊急治水対策河川事務所は「残る工事を確実に完了させるとともに、ソフト面の対策についても地域防災の先導役となる住民にバトンタッチできるよう取り組みを進めたい」としている。

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