北朝鮮追放の米兵、帰国へ 身柄移送、中国など支援

ソウルの駅で、トラビス・キング米陸軍2等兵について報じるニュース番組=8月(AP=共同)

 【ワシントン共同】米政府は27日、7月に韓国から南北軍事境界線を越えて北朝鮮に入ったトラビス・キング米陸軍2等兵について、中国に移送された後に身柄が米管理下に入ったと発表した。北朝鮮が追放を明らかにしていた。国務省のミラー報道官は記者会見で、韓国の米空軍基地から移送を始めており、米国に近く到着すると述べた。

 2等兵の健康状態は良好という。身柄引き渡しには北朝鮮と国交がない米国などの利益代表を務めるスウェーデンや国連が関与した。今月に入り、北朝鮮が2等兵を解放したがっているとの情報がスウェーデンを通じてもたらされていた。サリバン大統領補佐官は「中国国内での移送を支援してくれた」として、中国に謝意を表明した。

 ミラー氏は、2等兵が北朝鮮に入った後、米側は北朝鮮と直接接触を試みたが、拒否されたと説明した。解放を巡って北朝鮮に一切譲歩していないとし、対話が滞る米朝関係の「突破口になるとは思わない」と語った。

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