PGAツアー切符に近づく久常涼 中島啓太と金谷拓実が描くルートは

「来年は絶対に海外挑戦」と意気込む中島啓太(撮影/亀山泰宏)

◇国内男子◇バンテリン東海クラシック 事前(27日)◇三好CC西コース (愛知)◇7300yd(パー71)

23歳の中島啓太と25歳の金谷拓実。若手の台頭が目立つ日本男子ツアーの2トップを刺激するニュースは、憧れの先輩が戦う米国ではなくフランスから飛び込んできた。しかも2人より若い、21歳の久常涼によって。

前週の欧州ツアー「カズーオープンdeフランス」で初優勝を飾った久常は年間ポイントレースで11位に浮上。2024年のPGAツアー出場資格を付与される上位10人は現在1位のロリー・マキロイ(北アイルランド)ら有資格者を除いて繰り下がるため、一気に“圏内”に入った。フェデックスカップ・フォール(秋季シリーズ)で生き残り目指す小平智がいるものの、松山英樹が戦う最高峰の舞台へ、いま最も近い位置にいる日本人になったといえる。

中島は「いやー、ビックリしました」と後輩の快挙に声のトーンを上げ、自らも参戦の道筋をつけるべくゲームと向き合う。7月の海外メジャー「全英オープン」に出場した際、マネジャーと話し合ってプランを整理したことを明かす。

「三井住友VISA太平洋マスターズ」を終えたタイミングとなる11月13日時点の賞金ランキングまで1位を守り、米下部コーンフェリーツアーの来季出場権をかけた予選会ファイナルステージに参戦することがまずひとつ。ここで5位タイに入れば、2024年からPGAツアーでプレーできる。もうひとつは今季の比嘉一貴、星野陸也、岩崎亜久竜と同様に日本の賞金ランク上位者として欧州ツアーに参戦し、上位10人の切符を狙うパターンだ。

「来年は絶対に海外に挑戦すると思うので、そこは楽しみに今シーズンをやり切りたい。選択肢を増やすためには、『VISA』を終わった時点で(賞金ランク)1位にいないといけない」と力を込める。これまで適度にオープンウィークを挟むことで高いパフォーマンスを維持してきたが、ランキングを意識して当初スキップ予定だった11月「マイナビABCチャンピオンシップ」出場を決めた。

久常涼の優勝に胸が熱くなったという金谷拓実(撮影/亀山泰宏)

中島を474万3180円差で追う金谷も、久常の優勝にひときわ胸が熱くなった。金谷は広島、久常は岡山と地元が近く、ナショナルチームに入っていた時期も少しだけ重なっている。

自らも欧州へのスポット参戦を重ねた経験があり、実感を込めて話す。「今回の涼の優勝、ホントにすごいなって。欧州のいい選手も出ていた中で勝ちましたからね。僕も(欧州に)出ていたから難しさも分かるつもりですけど、(1シーズンを戦って)もっと大変なこともあったかもしれない。南アフリカとか、いろんなところに休まず飛んで、そういったことが実を結んで。言葉に出して、それを実行に移すって、簡単じゃないです」。次から次へと称賛の言葉があふれた。

「僕もチャンスをつかみたいと思うし、より一層頑張ろうという気持ちになりました」。これまでも十分貪欲だった海外へのチャレンジ精神は、さらに燃え上がった。だからこそ強調するのは「ホントに目の前の1試合1試合を一生懸命にやる」というシンプルな部分。中島も金谷も、日本で必死に戦いながら未来を見据えている。(愛知県みよし市/亀山泰宏)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン