ドローン活用で時短・増収実現 飼料用米の追肥と防除 茨城・農総センター実証

ドローンを使い肥料を散布した実証実験(茨城県農業総合センター提供)

茨城県農業総合センターは、飼料用米の追肥とカメムシ類防除にドローンを使った場合の効果を実証した。動力噴霧器と比べ、10アール当たりの作業時間は防除で9割、追肥は6割削減。10アール当たり収量は、追肥や防除をしない場合に比べ約3割多かった。同センターは「防除や追肥は収量増に有効だが、作業負担が壁」として、ドローンの活用が鍵とみる。

体へ負担少なく

2022年に農家の水田83アールで実証した結果をまとめた。多収性品種「あさひの夢」を栽培し、元肥として窒素成分量で10アール当たり8・1キロ、ドローンによる追肥で同3キロを施用。防除にもドローンを使い、穂ぞろい期にエチプロール水和剤を同0・8リットルまいた。

作業時間は、ドローンのバッテリー交換や農薬・肥料の補充の時間なども含め、防除は10アール当たり2分20秒。動噴を使う場合より約26分短かった。追肥は同5分54秒で、約8分短かった。10アール当たり収量は675キロとなり、防除や追肥をしない圃場(ほじょう)より28%多かった。プロペラの回転による下向きの強い風で農薬や肥料がたたき付けられるようにまかれ、「散布むらはほぼなかった」(同センター)とする。

同センターは同様の実証を21年にも実施。実証に協力した石岡市の磯部進さん(68)は、飼料用・主食用合わせて米を計31ヘクタールで栽培し、防除にドローンを使う。

以前は動噴を使っていたが、ドローンの導入で作業時間は10分の1になったという。磯部さんは「防除は夏の暑い時期にするため、体への負担の面でも作業時間短縮の効果は大きい」と話す。

17ヘクタール以上で有効

同センターは、ドローンを使う圃場の面積が17・1ヘクタール以上であれば、自らドローンを購入して作業を行う方が、外部に委託するより所得に有利とする試算もまとめた。導入コストは約450万円で償却期間7年、防除・追肥の委託料はそれぞれ10アール当たり2000円として試算した。 森市優

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