「魅力ある店は地方にもある」ITで都市部に魅力発信、Uターン男性の信念

「IT技術を活用し地域経済の活性化につなげたい」と話す曽根さん(福知山市新庄)

 「今日はどこから来ましたか」「どうやって店を知りましたか」。顧客への質問をスマートフォンに入力するだけで、簡単にウェブアンケートを作ることができる。曽根良介さん(36)=京都府福知山市=は、インスタグラムの機能を拡張し、飲食店や不動産業者の広報活動を支援するシステム「バズボ」を7月に開発した。

 地図アプリと連動させることで店舗情報が自動更新されるほか、他店の投稿分析や顧客への自動返信の機能も持つ。「魅力ある店は地方にもあるのに、情報が都市部に行き届いていない。地方経済の活性化にはIT技術を生かし、情報を効率的に全国に発信することが重要」と語る。

 インターネット広告を手掛ける「エスコネクション」を脱サラ後、福知山市にUターンし2021年に設立した。オフィスを持たず、自宅やカフェでシステム開発から営業までを1人でこなす。

 起業のきっかけは、Uターンを考えていた時に都市と地方の情報格差を実感したことだった。インターネットで求人情報を検索しても上位に表示されるのは京都市など大都市ばかり。情報が埋もれ、若者の流出が続く地元に危機感を持った。

 福知山成美高を卒業し、英語を学ぶためニュージーランドの大学に進んだ。帰国後、住宅設備メーカーで営業マンとして働いたが、ノルマに追われる働き方に疑問を感じた。18年に広島県内のIT企業に転職し、プログラミングやウェブデザインを一から学んだ。

 北近畿の事業者約3千店の集客や求人、取引情報をまとめたプラットフォーム「クリコネ」の運営にも力を注ぐ。「社長ライター」として飲食店の紹介記事を執筆し、地方生活の魅力を伝える。

 「若者を地方に定着させるためにも企業のIT活用をサポートし、地域で課題を解決できる環境をつくり出したい」と意気込む。

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