遊佐・鳥海湖、少雨で干上がる 今月上旬、現在はやや回復

 少雨の影響で本県と秋田県にまたがる鳥海山(2236メートル)の7合目にあるカルデラ湖・鳥海湖(遊佐町)の水が干上がり、湖底の一部が見える状態となっている。例年は盛夏を過ぎても山頂付近などの雪は残り、麓からも見えるが、今年は既にほぼ解けて、その姿も見えなくなっている。日照り続きだった、今夏の猛暑の影響は本県最高峰にも及んでいる。

 鳥海湖は直径約200メートル、最深部は4.7メートルの火口湖(カルデラ湖)で、雪解け水や雨水をたたえている。同町鳥海山ガイド協会長の佐藤正俊さん(65)は「8月下旬ごろから水位が下がっていると感じた」という。今月上旬ごろにはさらに湖水は少なくなり、中心付近の湖底の一部が露出し、ハート形のように見えた。

 例年、最も湖水が多くなるのは雪解け直後の春で、この時期はピーク時より水位が下がっているが、「こんなに水が少ない鳥海湖を見るのは初めて。珍しい光景」と佐藤さん。その後の降雨で、水位は一時期より回復しているという。

 山頂付近などの残雪は、今月中旬、本県側では解けて見えなくなった。長年、鳥海山の観察をしている酒田市八幡総合支所で会計年度任用職員をしている池田久浩さん(61)によると、例年、残雪がなくなるのは早くて9月下旬ごろ。「こんなに早く見えなくなるとは驚いた。春先の積雪の少なさと暑い日が続いたのが影響したのではないか」と池田さんも初めての経験だという。

 鳥海山に近い、山形地方気象台の観測点・酒田では今年、真夏日、猛暑日の日数は最多を更新。8月の降水量は13ミリで、8月の降水量としては、記録が残る1937(昭和12)年以降、最少だった54年の23.4ミリを下回った。

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