札幌ドームは民間に売却!?杉村太蔵案とは けいナビ上半期総集編

今回の特集はけいナビの上半期総集編。4~9月に放送した回の中から、3つのテーマをピックアップした。

札幌中心部に5億円マンション!?

最初に紹介するのは、札幌で建設が進んでいるタワーマンション。

札幌駅北口にできるのが、「ONE札幌ステーションタワー」。地上48階建て、総戸数はなんと624戸。ことし12月に完成する予定だ。大和ハウス工業など大手4社が共同開発する。JR札幌駅の北口まで徒歩3分という、類いまれな立地条件が売りで、最上階はなんと5億円だという。

モデルルームへ足を運んでみると…。45階を再現した景色が!実はこちらのマンション、札幌だけでなく首都圏にもブースを設けるというこれまでにないセールス手法をとった。その結果、これまでに販売戸数の9割以上の514戸が成約に至った。なんと、5億円の部屋をはじめ、最上階5戸全てが抽選販売だったという。

担当者によると、北海道内の人が6割、首都圏を含む北海道外が4割だという。さらに「これだけの大都市で中心の駅直結の物件はそうはない。全国的に札幌という街は評価も高い」と話す。北海道新幹線の延伸によって再開発が活性化していることも要因のようだ。

札幌ドームは民間に売却!?杉村太蔵案とは

続いての特集は、札幌ドーム。プロ野球・日本ハムファイターズが本拠地を移し、経営面では大きな影響を受けている。今後の戦略などについて社長に聞いた。

まずは札幌ドームの歴史を振り返る。2001年6月に開業。総工費は537億円。2002年に日韓ワールドカップ。2004年は、ファイターズ移転元年。2006年に指定管理業者として「株式会社札幌ドーム」となる。2016年にはファイターズが日本一、コンサドーレはJ1昇格。2019年にはラグビーワールドカップ、2021年には東京オリンピックの会場として使用された。

そして、大きな転換期となったのが、ファイターズの移転。去年9月が最終戦となった。

この間、札幌ドームの収支はどうだったかというと、大型ビジョンを更新した2014年度が開業以来初の赤字。野球用人工芝を更新した2018年度、コロナの影響の2020年度という3回の赤字を除けば毎年、黒字を計上していた。

番組MCの杉村太蔵さんは「ファイターズの移転は経営的に厳しいか」と山川社長に尋ねると、「かなりの痛手だ」と回答。札幌ドームの売上高は、コロナ前の2019年が39億円台。ことしはファイターズ移転初年度で赤字を見込み、来年度からの黒字化を目指している。山川社長は「ファイターズがいなくなってここ1~2年が勝負だ」と話す。

野球が減った分、なんとかイベントを増やし札幌ドームの広告価値を上げる。今狙っているのは、ネーミングライツだ。杉村太蔵さんは「第3セクターという難しさもあるのではないか」と指摘。「僕だったら本音は思い切って民間に売却して、その民間がここにホテルや遊園地を作って再開発する。例えば100億円で売って、その企業が300億円の価値のある施設にする…という流れにできないものか」と話した。

【半導体ラピダス進出で 北海道はどう変わる? 先進地熊本は】

最後の特集は、「ラピダス」。2ナノメートルの次世代半導体の生産をめざす、国を挙げての一大プロジェクトだ。半導体の工場が地域にもたらす経済効果について、TSMCの進出で先行する熊本の現状とともに見ていく。

台湾の半導体メーカーTSMCの工場ができる熊本では2024年の稼働を目指し工事が進んでいる。TSMCの工場運営のため設けられた子会社JASMは新卒と中途を合わせて700人余りを採用する予定だ。半導体関連の企業の進出も相次いでいて、その雇用も合わせれば数千人規模の求人が見込まれる。

製造業を中心に人材派遣を手掛ける「日研トータルソーシング」。この会社では、半導体に関わる人材を自ら育成する。TSMCの進出を見据え、県内にあった研修施設をリニューアル。面積は3倍に拡張した。現場で実際に使われている機械も導入した。

研修を受けている新人たち。半導体関連の工場への派遣が決まっている。多くは現場の大部分を占める工場のオペレーターとして派遣する。そのため研修のメニューも保守・点検など実践さながらのものが中心だ。

この施設は、新人の研修はもちろん企業研修やスキルアップ、リスキリング(学び直し)に使うこともできる。日研トータルソーシングの松岡執行役員は「工場は自動化が進んでオペレーターの仕事量は減り、人材不足を補っていく。ただその分自動化をされることによって自動化された設備を維持・管理する人が絶対必要になる」と話す。

熊本の「コスギ不動産」。TSMCの工場ができる菊陽町は熊本市の隣に位置することからベッドタウンとして元々人気が高いエリアだった。TSMCの進出が決まったことで、工事関係者や台湾からの駐在員、県外から進出してきた関連企業からの需要が押し寄せた。

光の森支店の田代支店長は「3年前、菊陽町の管理物件の入居率は大体93%だったが今では98%。需要と供給のバランスで供給数が今足りていないので、その分家賃が5000円から高いところだと一万円以上今までより上がっている」と話す。

この会社では、TSMC関係の住宅需要に対応すべく、プロジェクトチームを立ち上げた。菊陽町は農地が多く、開発可能な土地が少ない。このため会社では、近隣の市や町を含めて土地の確保を急いでいる。

隣町の管理土地を案内してもらった。ここには10階建て、約100戸のマンションを建設する予定だ。プロジェクトチームの小野里さんは「この土地も取得するときは競合が何社かいて、争奪戦みたいな感じでタッチの差で購入できた」と話す。場所によっては1年前の2~3倍の価格で取引される土地もあると言い、今後も争奪戦は続きそうだ。

他にも、ファイターズの新球場や洋上風力発電など、大きなトピックがある上半期だった。今後も番組では北海道の経済を応援していく。
(2023年9月30日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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