船長ら「キャリアが吹っ飛んだ」 座礁事故時の会話記録、安全委

モーリシャス重油流出事故で記録された船長の主な発言

 インド洋のモーリシャス沖で2020年7月、日本の貨物船が座礁し重油が大量流出した事故で、運輸安全委員会は28日、調査報告書を公表。貨物船「WAKASHIO(わかしお)」の船長らの会話を克明に記録。スマートフォンの電波を受信しようと夢中になり、船の異常に気付いて「人生でのキャリアが吹っ飛んだ」と落胆する様子が明らかになった。

 報告書によると、船はインド人船長の指示で航海計画を変更し、島に接近。船長とスリランカ人1等航海士がスマホの通信に意識を向けたまま航行を続けたため、浅瀬に乗り上げた。

 報告書では船橋内の音声を記録する装置から得られた船長と1等航海士らのやりとりを日本語に翻訳して掲載している。

 船長は「信号(携帯電波)は取れたか」などとスマホの通信状況をしきりに気にしており、島に接近後も、スマホに関する雑談を続けた。

 陸岸に近いと気付いて「心臓がバクバクする。何ということだ」と声を上げ、座礁が分かると「私のキャリアが吹っ飛んだ」と嘆いた。1等航海士も「私の(キャリア)もです」と応じた。

© 一般社団法人共同通信社