孤独さを抱えながら生きる女と男のラブストーリー アキ・カウリスマキ監督「枯れ葉」公開決定

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アキ・カウリスマキ監督の最新作「枯れ葉」が、2023年12月15日より劇場公開されることが決まった。

「枯れ葉」は、孤独さを抱えながら生きる女と男が、人生で最初で最後のかけがえのないパートナーを見つけようとする心優しいラブストーリー。北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし思いを通じ合わせることができるのだろうか。という物語が展開される。

2017年に監督引退宣言をしていたアキ・カウリスマキにとって復帰作ともなった本作は、「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」の労働者3部作に連なる作品として発表された。今年のカンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞し、先ごろアカデミー賞国際長篇映画賞部門のフィンランド代表にも選出されている。「トーベ/TOVE」でムーミンの作者トーベ・ヤンソンを演じたアルマ・ポウスティと、「アンノウン・ソルジャー 英雄なき戦場」のユッシ・ヴァタネンがカウリスマキ映画に初出演を果たしている。

アキ・カウリスマキ監督は、「取るに足らないバイオレンス映画を作っては自分の評価を怪しくしてきた私ですが、無意味でバカげた犯罪である戦争の全てに嫌気がさして、ついに人類に未来をもたらすかもしれないテーマ、すなわち愛を求める心、連帯、希望、そして他人や自然といった全ての生きるものと死んだものへの敬意、そんなことを物語として描くことにしました。それこそが語るに足るものだという前提で。この映画では、我が家の神様、ブレッソン、小津、チャップリンへ、私のいささか小さな帽子を脱いでささやかな敬意を捧げてみました。しかしそれが無残にも失敗したのは全てが私の責任です」とメッセージを寄せている。

また、新作の公開にあわせて、長らく廃盤だったカウリスマキ監督作品のBlu-ray BOXが、12月6日に再発売されることも発表された。

【作品情報】
枯れ葉
2023年12月15日(金)よりユーロスペースほか全国ロードショー
配給:ユーロスペース

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