うわっ、カメムシ軍団! 高層階の窓一面、連日張り付く 厳しい残暑で活動活発化?

「ライムグリーン軍団」現る。深夜、高層階の窓に張り付いたツヤアオカメムシ=神戸市中央区東川崎町1、神戸新聞社本社

 厳しい残暑が少し和らいだ夜だった。9月下旬、神戸新聞本社ビル13階(神戸市中央区)。窓一面に、ライムグリーンの虫がびっしりと張り付いた。「うわっ、カメムシや!」。ロマンチックなミナト神戸の夜景とカメムシの、不思議な取り合わせ。珍現象の背景を探ってみた。(小林良多)

 編集フロアの窓に、カメムシは連日張り付いている。また日中は自宅周辺や駅のホームなどで、何かにくっついたり、無残に踏みつぶされたりした姿をよく見かける。

 兵庫県病害虫防除所(加西市)によると、カメムシ科のツヤアオカメムシで、本州、四国、九州に広く分布するという。同所主席研究員の八瀬順也さん(60)は「県内の発生数はやや多い程度。神戸で目撃が多い理由は他にあるのでは。残暑の影響かもしれない」と指摘する。

 元々カメムシは、秋になると越冬に適した場所を求めて盛んに動く。そこへ9月の高温が重なった。神戸の平均気温は27日時点で平年を約2度上回り、熱帯夜も長引いた。気温が高いことで活動が長時間になり、移動エリアが広がった可能性があるという。

 カメムシは光に引き寄せられる習性があり、特に蛍光灯に集まりやすい。確かに職場で張り付いたのは、ブラインドを下ろしていない窓だった。「神戸の街のすぐ後ろには六甲山地が連なる。山にたどり着いたカメムシは、明るい高層ビル群を目標に飛んで来たのではないか」

 八瀬さんは果樹の被害に注意を促すほか、家庭では洗濯物に付いている場合があるので取り込む際によく見るよう呼びかけている。刺激を与えずそっと捕獲すれば、臭いを出すことはないという。

 「虫を愛する身としては、カメムシというだけで毛嫌いされるのはややかわいそうかなと。秋の夜長、先入観を捨てるトレーニングと思って観察してみるのもいいのでは」

© 株式会社神戸新聞社