兵庫の伝統産業、マッチと線香を後世に 両老舗のコラボで生まれた人気商品「hibi」、初の直営店が本社と東京にオープン

兵庫県ゆかりの素材で和の雰囲気に仕上げた東京蔵前店(神戸マッチ提供)

 マッチ製造の神戸マッチ(兵庫県太子町)は、同社初の直営店舗を本社と東京にオープンした。兵庫の地場産業、マッチと線香がコラボした着火具のいらないマッチ形のお香ブランド「hibi(ヒビ)」を扱う。国内外で売り上げを伸ばす人気商品。直接手に触れてもらえる新拠点で、さらなる飛躍を目指す。(赤松沙和)

 播磨の地場産業マッチは、ライターの普及など時代の変化とともに需要が減り続ける。一方、淡路島が生産量日本一の線香も、人口減少や仏事離れの影響を受けている。

 伝統産業を後世に残そうと、両業界の老舗である神戸マッチと線香メーカー大発(同県淡路市)が手を取り、マッチの軸木を棒状のお香にした製品を考案。神戸市垂水区のデザイン会社の協力も得て、2015年に「hibi 10MINUTES AROMA(ミニッツ アロマ)」を売り出した。

 先端の着火剤を箱に擦って火を付け、専用マットに置くと約10分間香りを楽しめる。香りは「レモングラス」や「イランイラン」など16種類(1箱8本入り770~880円)。オンラインショップでの直売や国内の小売店に卸すほか、海外12カ国にも輸出する。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、家で過ごす時間が増えて販売は好調。年間販売数は国内外で計約90万箱に上る。今回の出店に合わせ、新たな商品も用意。店頭で火を付けて香りを試し、好きな8本を選べる限定ボックス(880円)を販売する。

 神戸マッチ本社に設けた店舗は、社員食堂の一角を改修した約15平方メートルで営業する。今後、同店を窓口に本社工場の見学も受け付ける計画。東京の店舗は、問屋や町工場が集まる台東区蔵前4のビル1階の約50平方メートル。店内は六甲山の間伐材や淡路島の瓦など兵庫ゆかりの素材を使い、和の雰囲気に仕上げている。

 同社の嵯峨山真史社長(55)は「本社では地元に愛される販売拠点に育て、ものづくりの町、蔵前の店では国内外の人たちにヒビの世界観を伝えたい」と話している。

 本社店舗は、水、金曜の平日午後1~4時に営業。蔵前店は正午~午後7時、祝日をのぞく月曜定休。神戸マッチ本社店舗TEL079.277.0423

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