Jリーグ屈指の攻撃的サイドバック!J1神戸DF初瀬亮の攻撃センスでリーグ初優勝を引き寄せる

J1首位ヴィッセル神戸はリーグ2位横浜F・マリノスと29日午後7時にアウェー・日産スタジアムで天王山を迎える。

神戸の首位を攻守に渡ってきた初瀬亮は今季目覚ましい活躍を見せている。今季は左サイドバックで28試合1得点7アシストとサイドバックではDFでは最多アシストを記録している。

背番号19の起点作りや正確なクロスが神戸の生命線となっている。

今回はリーグ屈指の超攻撃型サイドバックの実力に迫る。

開花し切れなかった若手時代

ガンバ大阪のアカデミー出身の初瀬は、ユース世代では有望視されたサイドバックだった。ジュニアユース時代の2012年に史上初となるU-15年代全国3冠を達成し、ユース時代も卓越したサッカーセンスで注目される存在だった。

トップチームに昇格後は2017年に公式戦4試合連続アシストや東京世代では最速となるEAFF E-1サッカー選手権2017に臨む日本代表に初選出(出場は0試合)など飛ぶ鳥を落とす勢いで存在感を見せた。

ただ安定感が欠けるプレーや守備の軽さなどの課題があったため、G大阪ではなかなか主力に定着できないでいた。優れた攻撃センス、幅広い視野と洞察能力、キック精度と攻撃面で光るものはあったが、この時点では才能を開花し切れずにいた。

2019年に神戸へ完全移籍。出場数は古巣時代より増加するも、ここでも思ったような成長曲線を描けずにいた。ただ年を追うごとに緩やかに成長はしていた。今季に入ってからプレースキック、ビルドアップの起点つくりの関与、後方からの攻撃参加、機を見たサイドチェンジの精度が高まり、守備も安定性が出てきた。

中村俊輔を目指した超高精度プレースキック

今季J1第10節ホーム・湘南戦前半21分に左足で鋭いドライブ回転がかかったフリーキックでゴール右隅に先制点を突き刺した。左足のキック、弾道、球威、球速は横浜FMやスコットランド1部セルティックなどで活躍した元日本代表MF中村俊輔さんのフリーキックを彷彿とさせるものだった。

初瀬は小学生時代に憧れだった中村さんのキックを真似るように何度も左足からのプレースキックを練習した過去があったという。もともと右利きだったが、左足の精度も向上したためセットプレー時にキッカーを任されれば左足でボールを蹴っている。

今季はコーナーキック、フリーキックで多くのチャンスを演出している。先月18日のJ1第24節ホーム・柏レイソル戦では0-1の後半37分に初瀬はフリーキックでFW大迫勇也の頭に合わせるようにピンポイントでボールを送り同点のヘディング弾をアシストした。

プレースキッカー不在といわれる日本代表で初瀬のキック精度は魅力あるオプションの一つになるだろう。今季は残り少なくなったが、初瀬のプレースキックからどのようなゴールが生まれるのかに注目だ。

圧倒的な攻撃センスはリーグ屈指

今季の初瀬はプレースキック以外にもビルドアップの攻撃構築、局面の流れを一気に変えるサイドチェンジ、超高精度ロングフィードなど流れの中でもゲームメイクやチャンスメイクに大きく関与している。

その中でもJ1第26節京都戦でパトリッキが挙げたゴールとJ1第28節C大阪戦の佐々木が決めたゴールをアシストを挙げた初瀬のロングフィードは、似たような形からラインブレイクを誘発しているため、話題となった。

サイドから攻撃を形成できる司令塔型サイドバックは、世界でもヨシュア・キミッヒ、ジョアン・カンセロ、オレクサンドル・ジンチェンコと重宝されている。偽サイドバックなどの戦術的なタスクは負ってはないないが、中盤との関わり方も上手いため、相手からすれば初瀬の攻撃参加は脅威となっている。実際に7アシストという結果が物語っている。

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並外れた攻撃センスが開花した初瀬は、神戸の舵取り役としてチームの快進撃を攻守に渡って支えている。今後強豪との連戦が続く中で、初瀬はさらなる覚醒を見せるのか―。Jリーグ屈指の超攻撃型サイドバックの活躍を注視していきたい。

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