「最終戦も出たい」渋野日向子は緊張のシード争いから目線高く

日本でのオフを経て再渡米。渋野日向子はシーズンエンドへ一直線(撮影/桂川洋一)

◇米国女子◇ウォルマート NW アーカンソー選手権 presented by P&G 事前(28日)◇ピナクルCC (アーカンソー州)◇6438yd(パー71)

インパクトの感触に首をかしげたかと思えば、次の打球の軌跡を眺めてうなずく。撮影されたばかりのスマホの映像を見返し、表情を変えてまたアドレス。開幕前日の午後を、渋野日向子は強い日差しが注いだドライビングレンジでせわしなく過ごした。

9月上旬「クローガー・クイーンシティ選手権」までの3連戦を終え、2週のオフのあいだは一時帰国。「家でゆっくりしてました」とリラックスして、ヘアカラーも落ち着いたトーンに。24日(日)に再渡米し、1年前もプレーしたコースのチェックは27日(水)に参加したプロアマ戦までに済ませた。「昨年よりもフェアウェイがウェットで、(芝を)張り替えたところもある。(ボールが)あまり転がらない。グリーンも若干軟らかくスコアの伸ばし合いになると思うので、短いホールで攻めたい」とマネジメントに強弱をつけて攻略する作戦だ。

ドライビングレンジで打ち込みを続けた(撮影/桂川洋一)

スイング中の体の動きを丁寧に見直し、構築する作業が続いている。「まだ日替わりだからなんとも言えないですけど、悪くはないと思いたい」。スイング中の体の各箇所のポジションや動き方が理想に近いときは、「自分が思った感じのボールは出ている。自分がしっかり動ければ」と頭に描く動作と球筋にはギャップはなく、前進できそうな予感を持っている。

用具選びに精力的な姿もある。グリーンを狙う長いクラブが目下の課題。5UTと6Iのショットの間の飛距離差が大きく、6UTや7Wをテストしている。「試しはしているんですけど今は調整段階。まだ使う時ではないかな」と先を見据えて試行錯誤していく。

5月から7月にかけて国内外で5戦連続予選落ちも喫した一年は、いよいよ佳境に入った。米ツアーは全4試合のアジアシリーズを含めた8連戦を残すのみ。年間ポイントレース(レース・トゥ・ザCMEグローブ)のランキングは71位で、来季シードの確保圏(80位)の内側にいるとはいえ、「やっぱりシードが懸かっている。上のほうで戦えるように」と油断する様子はない。

「苦しい時もありましたけど、前向きに捉えてやっています」。シーズンを締めくくる「CMEグループ ツアー選手権」(フロリダ州ティブロンGC ゴールド・コース)の出場も、もちろん目標のひとつ。同大会前週の「アニカ driven by ゲインブリッジ at ペリカン」(フロリダ州ペリカンGC)終了時の60位入りのために、ヘトヘトになることだって覚悟している。「それを目指して。最終戦も出たいから頑張らないと」。いっそうの見せ場は秋からだって作れる。(アーカンソー州ロジャース/桂川洋一)

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