高速船待合室の天井に十字型スリット おしゃれなデザインには、建築家が込めた思いと仕掛けがあった 兵庫・明石

淡路ジェノバラインあかし港のりばの天井の光=明石市本町2

 高速船の待合室。椅子に座ってぼんやり上を見上げると、天井にきれいな十字型のスリット(切れ込み)が入っている。おしゃれな採光の形だ。でも、一体どうしてこんなデザインに?

 淡路島と明石をつなぐ淡路ジェノバラインの明石港のりば(兵庫県明石市本町2)。スリットを目でたどっていくと、壁面に子午線上にある市町の名が並んでいた。

 淡路ジェノバラインなどによると、かつて明淡高速船のターミナルとして建てられた際、建築家の岸和郎さんが子午線にちなんでデザインしたという。

 正午になると、天井から差し込む光の帯が床にある金属製のラインと重なる。日時計の逆の原理で、光で時を刻んでいるのだ。なんとも神秘的な空間に見入ってしまった。(領五菜月)

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