日本GPが開幕!6年ぶりのレコード更新でビンダーが初日最速。ホンダ、ヤマハ勢はダイレクトQ2を逃す/MotoGP第14戦

 9月29日、2023MotoGP第14戦日本GPの金曜日セッションが栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われ、MotoGPクラスはブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)がプラクティスをトップで終え、ダイレクト予選Q2進出を決めた。

 2023年シーズンの日本GPが幕を開けた。今大会は、日本勢としてはフル参戦の中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)のみだが、カル・クラッチロー(ヤマルーブRS4GPレーシング・チーム)がワイルドカード参戦をしている。さらに第6戦イタリアGPの決勝レース以降、怪我の影響で欠場が続いていたアレックス・リンス(LCRホンダ・カストロール)が8戦ぶりに復帰を果たした。

 そして、第11戦カタルーニャGPで怪我を負い、欠場となっているエネア・バスティアニーニ(ドゥカティ・レノボ・チーム)の代役はミケーレ・ピロが務めている。また、前戦のインドGPで怪我を負ったアレックス・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)、ルカ・マリーニ(ムーニーVR46レーシング・チーム)は欠場となっているが、代役は立てられていない。

 やや雲間が多く広がる天候となったもののドライコンディションで、午前10時45分にMotoGPクラスのフリー走行1回目が開始された。大勢の観客が見守るなか、全ライダーたちが続々とコースインを行っていき、約1年ぶりとなるエンジンサウンドを響き渡らせていく。

 早々からタイム合戦が白熱し、目まぐるしく順位が入れ替わる。そのなか、マーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)が1分46秒034でトップに立つが、その後ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が真っ先に1分45秒台に突入させる。しかし、クアルタラロのタイムをビニャーレス、そしてフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)がさらに上回る。

 前戦インドGPのスプリントで、開幕以来の3位を獲得したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)も、序盤から上位に食い込む走りを見せ、4番手につけた。バニャイアが1分45秒631でトップに立ち、そして0.095秒差の2番手にマルティン、3番手にビニャーレスが並んだところで順位が落ち着き、ほとんどのライダーが一度ピットに戻った。中上を含む約5名ほどのライダーは、継続して計測を行っていた。

 残り25分ほどになると、上位勢も再びコースへと戻っていくなか、ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)が5コーナーで転倒を喫していた。その後自力で立ち上がり、ピットへと戻っていた。この時点では順位に変動はあまりなく、依然としてバニャイアがトップを維持していた。

 残り15分を切る頃、ここでトップが入れ替わる。ほとんどのライダーがフロント、リヤともにミディアムタイヤを選択するなか、フロントにハードタイヤを履いたホルヘ・マルティン(プリマ・プラマック・レーシング)が1分45秒509で首位に立つ。さらに連続アタックでタイムを短縮させていたが、その後3コーナーで転倒を喫してしまっている。

 残り5分を切っても、マルティンのタイムを上回るライダーは現れなかったものの、2番手以降には動きが出た。終了間際にアウグスト・フェルナンデス(GASGASファクトリー・レーシング・テック3)が1分45秒330の2番手、マルコ・ベゼッチ(ムーニーVR46レーシング・チーム)が1分45秒510の3番手につけた。さらに、5番手には中盤に転倒を喫していたミルが食い込み、日本メーカーとしてはトップとなった。

■6年ぶりにコースレコード更新。トップ3がホルへ・ロレンソのタイムをブレイク

 続いて午後15時からは予選Q1、Q2進出を振り分ける75分間のプラクティスが開始された。なお、この新しいフォーマットがもてぎで行われるのは初となる。ライダーたちにとって、ダイレクトQ2進出をかけた重要なセッションのため、ピットレーンオープンとともに全ライダーが一斉にコースイン。

 全てのライダーがフロントタイヤはハードを選択していたが、リヤタイヤはミディアムかソフトと選択が分かれた。開始早々、ビニャーレスが真っ先にタイムを出すなか、ビンダーが1分45秒060で首位に立つ。しかし、FP1をトップで終えているマルティンが、1分44秒724をマークしてトップに浮上。

 さらにビンダーも1分44秒台に入れるが、マルティンにわずか0.234秒届かない。3番手にビニャーレス、4番手にヨハン・ザルコ(プリマ・プラマック・レーシング)が続き、日本勢としてはクアルタラロ、マルク・マルケス、中上も序盤からトップ10に食い込む走りを見せた。

 各車が一度目のアタックを終えて順位が落ち着いた頃、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(グレシーニ・レーシングMotoGP)が3番手に順位を上げる。さらに、ラウル・フェルナンデス(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)がトップタイムを塗り替える勢いでアタックをしていたが、10コーナーで転倒を喫している。

 残り30分ほどで、ミゲール・オリベイラ(クリプトデータRNF・MotoGPチーム)が2番手に並ぶと、さらに連続アタックでトップに浮上する。また、トップ10圏内に入っていたクアルタラロも、0.052秒差の2番手につけた。

 その後、マルク・マルケスが1分44秒574で3番手に浮上。すると、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)も4番手に順位を上げたかと思うと、連続アタックでさらにタイムを縮めてトップに踊り立つ。

 しかし、序盤から速さを見せていたビンダーとマルティンのふたりがさらに上回るタイムをマーク。そんななか、クアルタラロが6コーナーでスリップダウンを喫して転倒しているが、終盤には再度走行を行っていた。残り10分を切る頃には、ビニャーレスが2番手、ザルコが4番手にポジションを上げていた。

 そこに、ジャイアントニオが1分43秒台に突入させる。また、残り5分を切ると上位勢が続々とタイムを更新し、ビンダーがオール・タイム・ラップ・レコードを更新する1分43秒489でトップに躍り出る。

 さらにアレイシ・エスパルガロも2番手につけるが、ポイントリーダーのバニャイアがここで2番手に食い込んできた。しかし、最後までトップは変わらずビンダーが初日最速となった。

 もてぎのオール・タイム・ラップ・レコードは、2015年にホルへ・ロレンソがマークした1分43秒790だったが、今大会でビンダー、バニャイア、アレイシ・エスパルガロのトップ3が更新している。未開催の2020年と2021年を除くと、実に6年ぶりの更新となった。

 日本メーカートップは12番手のミル、クアルタラロは13番手となった。また終了間際に転倒を喫したマルク・マルケスは14番手、中上は18番手で終えている。

 モルビデリは15番手、ワルドカード参戦のクラッチローは16番手、8戦ぶりに復帰を果たしたリンスは21番手となっており、日本メーカー全車がダイレクトQ2進出を逃す結果となった。

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