「桜あんぱん」が関東地区最高賞 佐野の「ナカダのパン」 伝統が開花

グランプリを受賞した「桜あんぱん」(ナカダのパン提供)

 積み上げた伝統が「桜」のように花開いた-。1936年創業の老舗パン店「ナカダのパン」(栃木県佐野市万町)の看板メニュー「桜あんぱん」(5個入り)がこのほど、食品・食材認定制度「ジャパン・フード・セレクション」第67回関東地区で最高賞のグランプリを受賞した。同地区内では16品がグランプリに選ばれ、県内企業では唯一の受賞。祖父から受け継いだ味を守る同社の3代目、渡辺和雄(わたなべかずお)代表取締役(56)は「たくさんの人が『桜あんぱん』の開発や販売に携わってきてくれた結果。誇りに思います」と顔をほころばせた。

 「桜あんぱん」は、塩漬けして生地に練り込んだ桜の花びらの風味や、中にぎっしりと詰まったあんこが特徴。同社の創業者で渡辺さんの祖父、今朝次(けさじ)さんが食欲の落ちる夏場に満足して食べてもらおうと作り、75年ごろに販売を始めた。

 当初は店舗のみで販売していたが、市観光物産会館に並べたところ、お土産として人気に。今ではピーク時の春先になると1日約5千個を売り上げる大人気商品だ。

 同セレクションは日本フードアナリスト協会が主催。「桜の風味がしっかり楽しめ、あんこがずっしり入っていて満足感がある」「米麹(こうじ)を使用した生地のパンはオリジナリティーがあり、あんこもおいしい」など味について高い評価を得た一方、より積極的な交流サイト(SNS)などを使ったPRを求める声もあったという。

 渡辺さんは「グランプリを受賞したことで満足してはいけない。まだ商品を食べたことがない多くの人に食べてもらえるよう、『桜あんぱん』の魅力を発信していく」とさらなる意欲を見せた。

「桜あんぱん」を手にする渡辺代表取締役
グランプリ認定証を手にする渡辺代表取締役

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