近畿日本ツーリスト、神戸市でも840万円過大請求 電子クーポン事業、返還へ

近畿日本ツーリスト(J_News_photo/stock.adobe.com)

 神戸市は29日、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた地場産業を支援するための割引クーポン事業で、運営を委託した大手旅行会社近畿日本ツーリストが委託料約840万円を過大請求していたと発表した。市は過大請求分の返還を求め、同社も支払う意向を示している。

 市によると、電子クーポン「神戸ブランド・エールクーポン」事業。アパレル用品や靴、スイーツなど神戸の地場産品を購入する際に使えるクーポンで、商品が最大3割引きになった。

 同社は昨年5月~今年3月、事業の企画やコールセンターの運営などを約3億9千万円で受託。実際には作業量に応じて人員を減らしていたが、最終的な積算書に反映させることなく市に提出していた。

 同社は神戸新聞の取材に「提出時に修正する必要があったが、確認がおろそかになってしまった。速やかに返還し、再発防止に努めたい」と説明した。市は「求めた業務は遂行されている」として、刑事告訴はしない方針。

 同社を巡っては今年6月、新型コロナワクチン接種業務で過大請求があったとして、大阪府警などが社員3人を詐欺容疑で逮捕した。これを受け、同社が自治体などからの受託事業を調査したところ、神戸市の事例を含め、今月20日時点で最大37自治体に対し計約7億円分の過大請求があったという。(井沢泰斗)

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