【社保審】「令和6年度診療報酬改定の基本方針」議論/「薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価」例として記載

【2023.09.29配信】厚生労働省は9月29日、社会保障審議会(社保審)医療保険部会および医療部会を開き、「令和6年度診療報酬改定の基本方針」について検討した。物価高騰・賃金上昇踏まえた対応のほか、「薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価」などを例として記載した。

改定の「基本方針」は「基本的視点」とそれに対応する「具体的方向」に分けられる。

事務局は「視点」については8つの柱を示し、それに対応する「方向性」を例として以下の通り示した。

「基本的視点」:物価高騰・賃金上昇、経営の状況、人材確保の必要性、患者負担・保険料負担の影響を踏まえた対応
「具体的方向」:
物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う

「基本的視点」:全世代型社会保障の実現や、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化、新興感染症等への対応など医療を取り巻く課題への対応
「具体的方向」:
・75歳以上人口の増加と生産年齢人口の減少という人口構造の変化に対応した「全世代型社会保障」を構築する
• 6年に一度の診療報酬、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の同時改定であることを踏まえ、ポスト2025年のあるべき医療・介護の提供体制を見据え、「治し、支える」医療や個別ニーズに寄り添った介護が地域で完結して受けられるようにする
• 新型コロナウイルス対策の経験を踏まえ、新興感染症等に対応できる医療提供体制を構築

「基本的視点」:医療DXやイノベーションの推進等による質の高い医療の実現
「具体的方向」:
• 医療DXを推進し、医療情報の有効活用や医療機関等間の連携を進め、質の高い医療を実現
• 医療分野のイノベーションを推進し、創薬力・開発力を維持・強化

「基本的視点」:社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和
「具体的方向」:
• 「経済財政運営と改革の基本方針 2023」等に沿った対応を行う

「基本的視点」:ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進
「具体的方向」:
• 医療DXの推進による医療情報の有効活用、遠隔医療の推進
• 生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組
• リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進
• 地域医療構想・地域包括ケアを踏まえた医療機能や患者の状態に応じた入院医療の評価
• 新興感染症等に対応できる医療提供体制の構築に向けた取組
• かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師の機能の評価

「基本的視点」:現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革等の推進
「具体的方向」:
• 医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組
• 働き方改革に向けての取組の推進

「基本的視点」:安心・安全で質の高い医療の推進
「具体的方向」:
・食材料費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応
• アウトカムにも着目した評価の推進
• 重点的な対応が求められる分野への適切な評価(小児医療、周産期医療等)
• 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した歯科医療の推進
• 薬局の地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対物中心から対人中心への転換の推進、病棟薬剤師業務の評価
• 医薬品産業構造の転換も見据えたイノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等

「基本的視点」:効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上
「具体的方向」:
• 後発医薬品やバイオ後続品の使用促進、長期収載品等の在り方
• 費用対効果評価制度の活用
• 市場実勢価格を踏まえた適正な評価

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