「パワーよりもスムーズさが必要だ」初日の走行を踏まえクラッチローが感じたヤマハの課題/MotoGP第14戦日本GP

 9月29日、ヤマハのテストライダーとしてMotoGP第14戦日本GPにワイルドカード参戦しているカル・クラッチロー(ヤマルーブRS4GPレーシング・チーム)が、金曜日の走行を終えて、ヤマハのMotoGPマシンであるYZR-M1に関してコメントを残した。

 クラッチローは午前のFP1を1分46秒302の18番手、午後のプラクティスを1分44秒709の16番手で金曜日のセッションを終え、明日の予選はQ1からのスタートとなる。

 来季に向けたマシン開発も兼ねて参戦しているクラッチローは「今回自分が乗るバイクには、自分がテストしてノーと言ったパーツがたくさん付いている。彼らにはデータが必要だからだ。今回僕がレースをするのは、テストで足りていない部分のデータを取るためだ」と振り返った。

カル・クラッチロー(ヤマルーブRS4GPレーシング・チーム)/2023MotoGP第14戦日本GP

「今回使っているエアロパーツはミサノの時とはまた違うものだけど、日本とアラゴンでテストして、僕は気に入らなかった。バイクが重すぎてバランスが悪いから、ダウンフォースでのエアロ効果がない」

「加速は悪くないけれど、それ以外のところは全部負けている。ブレーキングも含めてだ。フロントが低すぎてロックしやすいから、コーナーへの進入がうまくいかないし、方向転換も重い」

「エキゾーストノートが聞こえず、振動もないことも大きな問題だ。電動バイクに乗っているような感じなんだ。ライダーはギヤチェンジをする時など、聴覚に頼ることが多いんだ。でもそれが聞こえないから、ダッシュボードに目を落として正しいギヤに入っているか確認しなければいけない。レブリミッターに当たってしまうまで気づけず、タイムをロスしてしまうんだ」

「これによってパワーデリバリーはスムーズになるかもしれないけれど、それは僕たちが必要としている大きなステップではない。必要なのはエンジンの改良なんだ。すべてはそれにかかっている」

カル・クラッチロー(ヤマルーブRS4GPレーシング・チーム)/2023MotoGP第14戦日本GP

 ヤマハのフル参戦ライダーのふたりはエンジンにもっとパワーを求めているようだが、テストライダーのクラッチローの見解はそれと異なる。

「今本当に必要なのはパワーよりも、スムーズなエンジンだ。他のメーカーの数字と比べると、スムーズさが圧倒的に足りない。去年テストをした時、僕はこのエンジンでは問題が生じると言ったし、今実際にそうなっている」

「ライダーはまたパワーを求める発言をしているけれど、それは正しい方向ではない。だから僕がヤマハにパワーよりもスムーズさだと訴えなければいけない。幸い、今新しいエンジン担当者がいて、彼は進むべき方向を知っている。それはポジティブな一歩だ」

カル・クラッチロー(ヤマルーブRS4GPレーシング・チーム)/2023MotoGP第14戦日本GP
カル・クラッチロー(ヤマルーブRS4GPレーシング・チーム)/2023MotoGP第14戦日本GP

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