県議バッジ返却されず 保管6個のみ、しかも3個レプリカ 議会事務局ずさん管理

石川県議会事務局に保管されている本物のバッジ(左)とレプリカ

  ●数百人に貸与か

 石川県議会事務局が、引退した県議から返却されて保管している議員バッジは6個で、これまでほとんど返却されていないことが29日、北國新聞社の取材で分かった。バッジは退職後、返却することが規程で定められており、対象の元県議は少なくとも数百人いるとみられる。さらに6個のうち3個は金製の本物ではなく、レプリカだったことも分かり、事務局のずさんな管理体制が浮き彫りになった。

 この問題は26日、福井県議会議会局が保管している議員バッジ69個のうち、11個がレプリカだったことを受け、石川県議会事務局が確認をしていた。

 1959(昭和34)年に施行された「石川県議会議員章規程」では、県議は身分を表示するため議員章を着用し、退職、失職、死亡した際は直ちに返還するよう定めている。

 現在のバッジは1個約4万7千円で、台座に18金、中央の菊に14金を使用している。当選証書が授与される際に貸与され、再選の際もあらためて渡される。

 事務局は、規程施行後に貸与したバッジの総数について、現時点で集計できていないが、1991(平成3)年以降は再選を含め延べ400人超に貸与したとみられる。レプリカは議員が求めた場合に約5千円で販売している。

 事務局によると、現在、保管されている6個のバッジのうち、本物1個は返却者が分かっている。バッジには裏面には議員番号が記されているが、貸与した年などは記されていない。このため、事務局は5個のバッジについては、誰がいつ返却したのか分からないという。

 現職県議の1人は「これまで事務局に返せと言われたことはなく、交付されたと思っていた。家に何個かある」と話した。県議会事務局の東秀一次長は「バッジは『貸与』ではなく『交付』と解釈していたため、これまで返却を求めていなかった」と説明し、「今後、どのようにすべきか検討する」としている。

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