コシヒカリ1等米8% 県産、8月末時点 JA関係者、まさかの1桁に衝撃

  ●猛暑影響、生産者の収入減危惧 北陸農政局発表

 北陸農政局が29日発表した2023年産米穀検査結果で、富山県産コシヒカリの1等米比率が8月末時点で8.0%となった。県産米の約7割を占める主力品種が猛暑の影響で、まさかの「1桁」となり、JA関係者の間では「これほどひどい数字は聞いたことがない」と衝撃が広がる。生産者の収入減を危惧する声も高まっている。

 コシヒカリ606トンを検査し、2等米は86.2%、3等米は5.7%だった。同局によると例年、コシヒカリ8万~10万トンを検査しており、本格的にスタートするのは9月以降となる。昨年の8月末時点では59トンを検査し、1等米比率は40.2%、21年は検査ゼロ、20年は4トンで比率は100%だった。

 今年は県米作改良対策本部が、猛暑により米粒が割れるのを防ぐため、早めの刈り取りを呼び掛けた影響で例年より検査が進んだとみられる。

  ●生産者の支援求める

 同局の担当者はこの時点では、大半が個人生産者のコメで、生産組合などが調製したコメが出れば1等米比率は上がるとみている。「コシヒカリは9月末の数字がその年の最終的な結果に近い」と指摘。8月末時点での検査量ではその年の出来具合を判断するのは難しいとした。一方で「1桁からのスタートでは、近年のように8割、9割を超えるのは難しく、最終的に5割ほどに落ち込むかもしれない」との見方を示した。

 JA県中央会の延野源正会長は「厳しい数字になった」と肩を落とし、生産者の収入減を危惧する。ただ「よく育っている」と話す生産者もいるようで、中央会では現在、地域ごとの1等米比率を詳しく調べている。延野会長は「国や県に生産者の支援を求めていくと同時に、来年以降も見据えてデータを集め、田植えの時期や肥料の使い方など見直していく」と話した。

  ●全体では81.8%

 県産の水稲うるち玄米全体では4856トンが検査され、1等米比率は81.8%で、前年同時期の92.3%を下回った。銘柄別では早生(わせ)品種「てんたかく」が最も多く、3976トンを検査し、1等米比率は94.9%だった。

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