膵臓が五臓六腑に含まれない驚きの理由とは!?【図解 解剖学の話】

体の奥にあって存在感が薄かったから

見つかりにくくて忘れられた膵臓

おいしい料理や、酒を味わい、生き返ったような気持ちになったとき、「五臓六腑(ごぞうろっぷ)にしみわたる」と言ったりします。この言葉は中国伝統医学からきているもので、五臓とは肝臓(かんぞう)、心臓、脾臓(ひぞう)、肺、腎臓(じんぞう)のこと。そして、六腑とは、大腸、小腸、胆嚢(たんのう)、胃、膀胱(ぼうこう)、三焦(さんしょう)(実体不明)を指しています。現代医学では、臓器として「膵臓(すいぞう)」があり、六臓ということになりますが、なぜ、膵臓は五臓六腑に含まれなかったのでしょうか。膵臓は、胃の後ろ側の体の奥まったところ、胃と背骨の間に挟まれるように位置するため、古くはその存在を知られていなかったとされています。こうしたこともあり、「忘れられた臓器」と呼ばれてしまうこともあるのです。

消化と血糖値コントロールの重要な機能を持つ

五臓六腑からは外れてしまった膵臓ですが、2つの大事な役割があります。1つは、デンプンやタンパク質、脂肪などの物質の消化を助ける消化酵素(こうそ)を含んだ膵液(すいえき)をつくり、小腸へ分泌すること。そして、もう1つは血中のブドウ糖値である血糖値をコントロールすることです。膵臓にあるランゲルハンス島という器官の細胞からは、糖代謝に必要なインスリンやグルカゴンなどのホルモンが分泌されています。膵臓からインスリンが分泌されると、そのはたらきによってブドウ糖がエネルギーとして利用されます。一方のグルカゴンは、血糖値が下がったときに働いて、血糖値を上昇させます。

膵臓は体の深部に位置する

膵臓は、太い血管、胃腸、左腎のすき間に、逆の「コ」の字のような形ではまり込んでいる。解剖では、胃腸を取り除くと、ようやく見えてくる。

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気になる中身を少しだけご紹介!耳はどんなふうに働いて音を感じるの?

空気の振動を電気信号に変換させ聴覚を生む

いくつもの器官を通って脳に辿り着く

耳の最初の役目は、音を集めることで、そのはたらきをしているのは外側に張り出している「耳介」です。耳介は、音を集めるアンテナで形がぼこぼこしているのは、音を正確に聞き取るためだといわれています。音の正体は音波という空気の振動です。耳介で集められた音波は、外耳道を通り、その先にある「鼓膜」にぶつかると、今度は鼓膜を振動させます。振動は、鼓膜の先にある「耳小骨」というヒトの体のなかで最も小さい骨に伝わります。耳小骨の先には、渦巻き状の「蝸牛」があり、振動が伝わると、なかにあるリンパ液が振動し、蝸牛のなかにある有毛細胞をふるわせます。この有毛細胞はピアノの鍵盤のように音程順に並んでいて、感知した振動の内容を電気信号に変換します。それが神経を通って大脳に伝わり、音として認識されるのです。

耳が遠くなるのは、有毛細胞の衰えが原因

年を取っていくと、耳から入った音が脳に辿り着くまでの間に、さまざまな問題が発生するようになります。なかでも耳が遠くなる最大の原因は、蝸牛にある有毛細胞の衰えです。有毛細胞は蝸牛の入口に近いほど高い音、奥に行くほど低い音に反応するしくみになっていますが、どんな音も同じように入口から入ってくるので高い音を担当する細胞ほどダメージを受けやすくなります。そのためヒトは、年を重ねるごとに高い音から聞こえにくくなっていきます。

音波が聴覚に変わるしくみ

①音波が鼓膜に届き、鼓膜が振動する
②耳小骨が鼓膜の振動の力を増幅する
③ふるえが蝸牛のなかを巡り、電気信号に変わる
④電気信号が内耳神経を通って脳に伝わる

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