第三のビール、駆け込み需要 酒税率改正、あす10月1日から値上げ

10月1日から酒税率が改正され、第三のビール(新ジャンルビール)、ワインが値上がりする一方、ビール、日本酒は値下げになる。店頭にポップを置き、買い物客に周知している店もある=山形市・ヤマザワ松見町店

 10月1日から酒税率が改正され、ビールが値下がりする一方、第三のビール(新ジャンルビール)は値上がりする。“庶民の味方”を値上げ前に確保しようと、県内で駆け込み需要が見られ、小売店側も多めに仕入れて対応している。とはいえ、10月以降も、第三のビールが割安なことは変わりなく、小売店側は「大部分の愛飲家は、まだ第三のビールにとどまるのでは」と展望している。

 ヤマザワ(山形市)では8~9月、第三のビールの売り上げが前年を1割近く上回っている。酒バイヤーの深谷慎悟さん(40)は「告知が早かったため前回(2020年)値上げ時より、お客さまの動き出しは早い」と話す。各銘柄とも在庫は十分に確保し、駆け込み需要増加に備えた。

 一方、酒販店主たちは今回の価格改定幅が小幅なことを理由に、「(長い目で見ると)10月以降も大きな変動はないだろう」と口をそろえる。改正により、ワインも値上げ対象となるが、日本酒は値下げとなる。小売店の中では消費者の負担を考え、値上げになる酒の価格を変えない店が多い。

 県産ワインを豊富に置く金内酒店(米沢市)の金内晴一社長は「ワインは大幅な値上げではないため価格は据え置く」と話す。ただ、「ワインに限らず原料の価格が高騰し、今後の価格の動向は読めない」と警戒感をにじませる。浅野商店(山形市)の浅野隆志代表も「経営努力で値上げ分はなるべく吸収したい」とする。

 消費者側の反応はさまざまだ。ビール党という山形市岩波、無職遠藤正俊さん(63)は「数円でも毎日なら大きな額になる。値下げはありがたい」と頬を緩める。山形市の男性(79)は第三のビールを箱買いする習慣があり「値上げは知らなかった。早く買わないと」と話す。酒田市高見台2丁目、主婦伊藤恵理さん(51)は「ビールが好きで、税率が下がるのはうれしい」と喜ぶ半面、「家計を考え、普段飲むのは発泡酒が多く、ビールをもっと安くしてとも思う」と注文した。

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