金谷拓実と2人だけ 今季予選落ちゼロの“もう一人”は?

今季17試合で予選落ちがない小木曽喬。首位に4打差で週末へ(撮影/大澤進二)

◇国内男子◇バンテリン東海クラシック 2日目(29日)◇三好CC西コース (愛知)◇7300yd(パー71)◇晴れ(観衆2228人)

国内男子ツアーはこれが今季19試合目。出場17戦目だった中島啓太がシーズン初の予選落ちを喫し、予選落ちゼロの選手は2人だけとなった(出場10試合以上の選手に限る)。中島と賞金レースで競り合うランキング2位の金谷拓実、そしてもう一人が小木曽喬だ。

「啓太と金谷は(コンスタントに)優勝争いをしている中の“アレ”なんで。僕は2、3試合、ギリギリで通れた試合もあった」と謙遜する26歳は、首位と4打差の通算5アンダー8位で17戦目の今週もしっかり決勝ラウンドに残った。最終18番のセカンドで池につかまりながら、3m近い距離を沈めて何とかボギーにとどめるフィニッシュ。「71」のパープレーにも今季の戦いぶりを物語る粘りが出た。

「結構、『苦手』と『好き』が激しいと思っていて…」と話すように、もともとはコースとの相性がはっきり表れやすいタイプ。自宅から車で40分ほどの地元コースとなる三好CCも距離が長く、得意ではないイメージを抱いていた。それでも今季まんべんなく結果を残せているのは、「何かひとつうまくなったというより、バランス良く全体(のレベル)を上げられている。底上げができた」からだとうなずく。

地元で優勝争いに加われるか(撮影/大澤進二)

苦い経験が糧になっている。昨季の下部ABEMAツアー。賞金ランク1位として迎えた最終戦で大堀裕次郎に逆転を許し、賞金王のタイトルを逃した。いまになって思い返しても、悔しさがありあり。「でも…」と続ける。「(下部賞金王に与えられるシード)1年じゃなくて、前半戦で成績を出さなきゃいけない限定的な立場になったことで油断せずに行けた」。4月の開幕戦「東建ホームメイトカップ」で5位と好スタートを切れたことにも裏付けがあった。

継続的なトレーニングで伸びてきた飛距離に加え、下部での好成績に満足することなくスイングの見直しにも着手。「ABEMAだと、スピンで(グリーンに)球を止められなくても行けるところがある。(レギュラーでは)アイアンで刺さったような球って、あんまり止まらないじゃないですか。あれが、向こうだと止まるので、いいショットをしている“気分”になっちゃう。それがこっちに来ると、左の奥のラフにこぼれたり…」。レギュラーで生き残るためのスピン量を求め、オフから準備を重ねてきたという。

2014年「日本アマ」で当時の日本人最年少優勝を記録(撮影/大澤進二)

毎試合欠かさず稼いできた賞金は1900万円に迫り、夏場で初シードを手中に収めた。前週「パナソニックオープン」では初めての最終日最終組を経験。「その前(ANAオープンの3日目)には、初めて(石川)遼さんと回れたんです。いい流れで来ている」と本人なりのステップアップも実感している。

2014年「日本アマ」では中嶋常幸の記録を更新する17歳で日本人最年少優勝(当時)を成し遂げたプレーヤー。「シードも決められて、そこは気持ちの余裕を持って、もうひとつ上のところを目指せる。チャンスが来たら、上に行きたい」。その好機が地元で訪れた。(愛知県みよし市/亀山泰宏)

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