後ろを注意、助け求めて…盗撮相次ぐJR駅 現場はエスカレーター 10日間で2回被害 兵庫・三田

今年7月に盗撮事件が相次いだエスカレーター=三田市駅前町

 今年7月にJR三田駅構内(兵庫県三田市駅前町)のエスカレーターで女性が盗撮される事件が相次ぎ、兵庫県警三田署などが警戒を強めている。8月下旬に駅周辺で啓発グッズを配るなど、被害防止を呼びかけている。(尾仲由莉)

■後ろを注意、助け求めて

 現場は神戸電鉄の三田駅から乗り換えでJRに向かう上りエスカレーター。発生は7月20日と27日でいずれも朝の通勤、通学時間帯だった。被害者は撮られたことに気づかなかったが、出勤途中や別件で警戒していた警察官が会社員や派遣社員の男を取り押さえた。

 同署によると、市内での盗撮の認知件数は昨年1年間で10件あり、うち1件は同じJR三田駅構内のエスカレーターで発生した。今年もこれまでに10件に上り、駅周辺は3件。キッピーモールなどの商業施設では、本屋での立ち読みや若い人が多い100円ショップなどが狙われている。

 予防策としては、後ろを常に気にかける▽スマートフォンを見たり、イヤホンで音楽を聞いたりしながら歩かない▽少しでも異変を感じたら「何しているの」と大きな声を出し、周りに助けを求める-などがあるという。

 また、7月の事件のうち1件は、逮捕した男の小型カメラに複数の盗撮動画が見つかり、女性は全てロングスカートだったという。「『長いスカートだから大丈夫』ではない」と気を付ける必要がありそうだ。

 危機感を強めた同署は、8月25日に県警鉄道警察隊や三田防犯協会などと合同の「盗撮・痴漢撲滅キャンペーン」を実施。啓発用のティッシュやクリアファイルを配りながら注意喚起した。

 また、エスカレーターを管理する市に防止策として鏡の設置を要望した。同署生活安全課の小平宝生(たかお)課長は「鏡があると、女性が無意識に身なりを確認しようと視線を送ることもあると思う。鏡は背後も見えるので犯行に気がつきやすいし、加害者側もやりにくいはず」と説明する。実際に大阪駅周辺などでシール式の鏡を貼っている事例がある。

 ただ、市によるとエスカレーターの側面には2、3メートルおきに支柱があるため、鏡を設置できる壁のスペースがほとんどないという。市道路河川課の担当者は「できれば被害防止に協力したい。構造上の問題などを含めて、市危機管理課や三田署と協議していきたい」と話している。

© 株式会社神戸新聞社