乳白の女性像など多彩 藤田嗣治没後55年展 茨城・笠間

人生の約半分をフランスで暮らした明治生まれの画家、藤田嗣治(レオナール・フジタ、1886~1968年)の没後55年展が30日、茨城県笠間市の笠間日動美術館で開幕。代名詞と言われる乳白色の女性像や、モチーフを極細の線描で表現した作品など、フランスで手がけた作品を中心に63点を紹介する。

藤田は、後に陸軍軍医総監となる藤田嗣章の次男として東京で生まれた。東京美術学校を卒業後、1913年に渡仏。パリでは、透明感あふれる乳白色で肌を描いた画面や、面相筆による繊細な線を用いた独自の画風を確立し、「パリ派」の画家の一人として活躍した。戦後はフランスに帰化し、レオナール・フジタと改名した。

本展は、藤田の名品所蔵で知られる平野政吉コレクションをはじめ、各地の美術館や個人から、藤田が20年代前後と50年代にフランスで描いた作品を軸にそろえた。会場は「藤田の5人の妻たち」「動物」「子どもたち」など7章で構成。細密な筆致でベッドに横たわる女性を描いた「夢」(56年)や、元気に飛び跳ねるウサギやキツネを題材にした「動物群」(24年)などの作品が主な見どころとなっている。

担当の塚野卓郎学芸員は「乳白色で表現した魅力的な女性像をはじめ、藤田の多彩な作品世界を味わっていただければ」と話す。

開幕を控えた29日、関係者によるセレモニーが同館で開かれ、テープカットと展示作品の内覧が行われた。会期は12月17日まで。

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