源氏物語ゆかりの植物について学ぶ講座が京都府宇治市宇治の市生涯学習センターで開かれ、府立植物園(京都市左京区)の松谷茂・名誉園長(73)が解説した。物語には約110種類が登場するといい、作者の紫式部について「千年も前に一つの物語にこれほど多くの植物を出したことに驚く」と語った。
松谷さんは府立植物園の9代目園長で、樹木学、植物園学が専門。現在は府立大の客員教授を務める。
講座では源氏物語の全54帖のうち半分ほどが植物に関するタイトルを付けていると説明。主人公・光源氏が最も愛した紫の上をサクラに例えるなど、花で女性を表現している文章が多い特徴を挙げた。
夕方に花が咲き、朝にはしおれるユウガオの生態を、登場人物の生死が描かれる「夕顔」の巻のストーリーに反映させた点に触れ、「植物を知らないと描くことができない。紫式部の観察眼は素晴らしい」と述べた。
講座は、紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送を来年に控え、宇治市が源氏物語ゆかりのまちであることをアピールする事業の一環で開催。市民26人が聞いた。