【MLB】パドレスのワイルドカード可能性が消滅 年俸総額トップ3はいずれもポストシーズン進出ならず

写真:パドレスは最後まで粘ったがポストシーズンには届かなかった

9月29日(日本時間30日)、マーリンズがパイレーツに逆転勝利したことで、パドレスのポストシーズン進出の可能性が消滅した。

これにより、今季の年俸総額1位のメッツ、2位のヤンキース、3位のパドレスがそろってポストシーズン進出を逃したことになる。これら3球団はいずれもオフシーズンに大物選手を獲得するなど積極的な補強を進めたが、その投資額に見合う結果にはならなかった。

データサイト『Spotrac』によると、今季のメッツの推定年俸総額はおよそ3億4360万ドル。全球団中唯一3億ドルを超えている。昨年オフには守護神エドウィン・ディアスとリリーフ投手としては史上最高額の5年1億200万ドルで再契約。さらにサイ・ヤング賞投手のジャスティン・バーランダーを2年8667万ドル、日本から海外FAになっていた千賀滉大を5年7500万ドルで獲得し投手力を整備。野手ではブランドン・ニモと8年1億6200万ドルで再契約するなど、とにかく大型契約を繰り返した。

当然優勝候補と見られていたメッツだが、WBCでディアスがシーズン絶望の大けがを負うなど誤算もあり、シーズン中盤に大失速した結果、夏のトレードデッドラインではバーランダーやマックス・シャーザーを放出する「売り手」に回る決断をした。シーズン158試合を消化した現時点で、勝率は.456の地区4位。MLB全体でもワースト8位に沈んでいる。

ヤンキースの推定年俸総額は2億7900万ドルだ。昨年歴史的なシーズンを送ったアーロン・ジャッジと9年3億6000万ドルというFA史上最高額で再契約することに成功。他にもFAになったアンソニー・リゾを2年契約で引き留め、新たにエース級左腕カルロス・ロドンを6年1億6200万ドルで獲得した。

現有戦力をできるだけ保持しながら更なる補強を進めたはずだったが、今季のヤンキースは主力に故障者が続出。コールと二枚看板になるはずだったロドンも相次ぐ故障と不振で大きな戦力にならなかった。160試合を消化した現時点で、勝率は.506の地区4位。一時は地区最下位に落ちるなど直近30年でワーストのシーズンになってしまった。

パドレスは推定年俸総額2億5380万ドル。勝負の年と位置づけられた今季はオフにザンダー・ボガーツを11年2億8000万ドルで獲得するという驚きの補強を見せた。さらに契約延長にも大金を投じ、マニー・マチャドと11年3億5000万ドル、ダルビッシュ有と6年1億800万ドル、ジェイク・クロネンワースとは7年8000万ドルの契約を結んだ。オプトアウトしたロベルト・スアレス、ニック・マルティネスを引き留め、さらにセス・ルーゴ、マイケル・ワカら新戦力も獲得。

あらゆる補強をして挑んだ2023年シーズンだったが、序盤からあまり波に乗れず。ポストシーズン進出の可能性が低下する中、トレードデッドラインでは複数の選手を獲得する「買い手」に回って最後まであがいた。終盤に8連勝でギリギリまで希望を捨てずに戦ったが、結局可能性は消滅してしまった。160試合を消化した現時点では勝率.500で、最終盤にようやく地区3位に上昇した。

間違いなくスターがそろっていたこの3球団がポストシーズンに進出することすらかなわないとは、開幕前には想像できなかった状況だ。一方で、7100万ドルという全体28位の年俸総額で100勝チームへとのし上がったオリオールズの例もある。選手の年俸は右肩上がりに上昇しているが、今のMLBで勝てるチームを作り上げるためには、資金力だけでなく球団運営のうまさこそが求められている。

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